ピザ、グラタン、クリームコロッケなど乳原料の冷凍食品に強みを発揮するアクリフーズ。前身は雪印乳業。ニチロを経て現在はマルハニチロ食品のグループ会社だ。6月19日、アクリフーズの社長に就任した田辺裕氏はマルハニチロ食品専務から、前任社長の羽田誠一氏と交代する形で現職に就任した。社長としてのスタート、心境を聞いた。
「社長は組織のヘッド、力んではいけない。いつ動いたか分からない車の発進のようにスタートを切る。社内で『いつ社長が変わったの?』といった声が出るくらいのところが良い」。
4月から顧問として着任したが、従来アクリフーズが進めてきた路線を中心に動くことにしている。社員に望むことは「我々の存在感を高めるため、一つひとつの課題に対する深堀が必要。また、社員にはそれぞれの分野でトップを目指して欲しい」と期待を寄せる。
冷凍食品業界は過渡期とも言われ、その中で生き残るには、「冷食は食品全体の中での冷食であり、当社はその冷食に携わる企業である。冷食だけを見るのではなく、食品全体の中から自分の立ち位置を見ることが大切だ。陸から海を見るのと、海から陸を見るのでは見えるものが違う。そうしたものの考え方で、食品の中での自分たちの位置を見定めて、その視点から当社の存在価値を高めるべき」と持論を展開する。
アクリフーズが掲げる最重要テーマは、引き続き安全安心の供給体制の構築、お客様第一主義の丁寧なもの作りである。そして当面の最大ポイントは群馬工場の設備更新だ。
「群馬工場はピザ、グラタン、クリームコロッケを生産する当社の中心工場。雪印時代の創世期からの工場で、35年ほどを経過している。この夏場に新機能を付与して競争力を強化、さすがアクリの差別化商品と言われる商品の開発に力を入れる。また、夕張工場は今年中にISO22000を取得する」。
アクリフーズは家庭用が主力で、業務用強化がテーマのひとつ。「当社の業務用比率は低く(約20%)、力を入れる必要がある。そのためマルハニチログループの力を活用したい。個々人の食事の調達先は多様化している。供給者側からではなく消費する側に立ち、どういう食をどういう形で送り出すかの視点が大事だ」。
また、アクリフーズは中国で「阿克力」ブランドの内販を拡大し浸透を図ってきたが、田辺社長は「中国のマーケットも世界的な不況の下で変化している。値頃感ある商品の開発を含めて手直しが必要」と語る。
現在量販店でピザ28元を中心に展開し評価も得ているが、価格水準の低い商品も出ており、「普及の速度を速めるため研究の余地がある」と語る。また、業務用の拡大ものこのところ急だ。
「日本より早く中国で業務用が家庭用規模に追いつき、さらに逆転する可能性がある。外食分野などで日本企業の進出も顕著、こうした動向と中国の商流、物流の障壁などをよく見て家庭用、業務用分野ともに力を入れたい」。(7/23)
田辺裕(たなべ・ゆたか)
1950年生まれ、東京都出身。近畿大学農学部水産学科卒。72年に大洋漁業(93年にマルハに社名変更)に入社。マルハ中部支社支社長、食品本部副本部長兼広域営業部長などを経て、03年に取締役、06年に常務。08年4月からマルハニチロ食品専務となり、09年4月からアクリフーズ顧問。同6月から現職。


