ホーム > この人の出番 > 第91回 味の素ゼネラルフーヅ 代表取締役社長 村林誠氏

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この人の出番

価値の提供が仕事そのもの 味の素ゼネラルフーヅ 代表取締役社長 村林誠氏

国内の食品市場は、少子高齢化や人口の減少、加えて消費低迷が続くなど、明るい話題は少ない。だが、6月23日付で味の素ゼネラルフーヅ(AGF)社長に就任した村林誠氏は、同社の業績が好調であることを受け、「コーヒー及びその周辺は、商品の提案の仕方や見せ方、消費者に向けた語りかけ方によって、まだまだ拡大の余地がある。非常に大きな魅力を残したマーケットだ」と今後の成長に向けた手応えを話した。

そのコーヒーの市場でも、他のカテゴリーと同じく顧客の低価格志向への対応に苦慮している。中には顧客が求める以上の安値で提供する小売店も散見される状態だ。

「低価格でお店は利益が出ているのだろうか。流通の方が一番苦しんでいるのではないか。われわれは価値を提供し、その見せ方も工夫していく。突き詰めると価値を提供することがわれわれの仕事そのものである」とし、消費者に向けた価値訴求の重要性を訴える。

顧客に価値を感じてもらうのは難しい。かつてはいいものを値ごろ価格で作れば売れたが、現在のいいものは消費者が認める価値がありながら、タイムリーに提供されるものでなければならない。「価値をわかっていただくハードルは年々上がっている」のが現在の国内市場であるという。

この状況に対応するために、村林社長は逆転の発想の必要性を説く。「どれくらいのコストででき、どれくらいのマージンが必要か、したがってこの商品の売価はこれくらいだ、という方式にメーカーは当てはめようとしがちだが、私は逆だと思っている。まずは価値である。消費者に認めていただける価値(価格)が顧客との接点の合計である売り上げとなる。そこから当社や小売店などの必要な利益を引いた残りがコストだ。そのコストで、製品の開発と生産を達成することが、われわれメーカーの使命である。その意味では素材や素材を活かす技術、顧客に伝えるコンセプトで、競合他社よりも一歩、あるいは半歩抜きん出ることが必要になってくる。それが、つまり競争力ということだ」と話し、価値を競争軸に市場を活性化する考えを示した。

コーヒーのフルライン化をここ数年推進し、事業の拡大につなげてきた同社はインスタントコーヒーを軸としながら、最近ではスティックコーヒーやボトルコーヒーが大きな成長を遂げ、08年度は売上高1329億円を達成し、今年度は1380億円を目標に掲げる。

前体制から掲げてきた2011年度売上目標1500億円については、「極めて重要な成果目標」とし、「あと2年で120億円を積み増さねばならないので簡単な数字ではない。だが、この数字は新事業や新分野など新たな機会追求をしなければ埋まらない数字でもない。既存の周辺、その強化でねらえる数字だ」。

当面は、新たなチャレンジへのチャンスをうかがいつつ、既存及び周辺部分の業績拡大に集中する方針だ。(8/6)

村林誠(むらばやし・まこと)
1956年東京都生まれ。79年慶應義塾大学商学部卒業後、味の素入社。94年調味料・油脂事業本部調味料部加工用グループ長、00年味の素ポーランド社長、01年ワンタイフーヅ社長を経て06年7月味の素食品カンパニー九州支社長、09年6月に現職。「横から見ていてAGFの営業は非常に強いと思っていた。でも、価値の伝え方はまだ工夫できる」と話す。趣味は空手。