昨年の日本酒の海外への輸出量は前年比7%増と7年連続でプラスを記録した。輸出額は9%増の77億円となっており、こちらは9年連続のプラスとなる。国内では日本酒は飲まれなくなっているが、それと反比例して海外では人気を得ている。
今では有力地酒蔵は、海外市場に取り組むことが当然のことのようになっているが、松崎氏は早くから海外市場の潜在性を見抜いていた。準備段階を経て、海外でのマーケティングノウハウの提案や、イベント啓蒙活動を行う「日本酒輸出協会」を立ち上げたのが1997年。現在会員は22社。南部美人、出羽桜、獺祭などその品質の高さが数々の場面で証明され、日本酒の新時代を切り開いている蔵元ばかりだ。
松崎氏はどうしてこれらの蔵元の良き相談相手となり、リーダー的存在になれたのか。それは彼が日本酒をこよなく愛し、また抜群の利き酒能力を持つことによるだろう。
純粋日本酒協会・きき酒コンテストで30回にわたり名人となり、永久名人に認定されるほどだ。現在、「日本酒市民講座」、朝日カルチャーセンター、「うらかすみ日本酒塾」など消費者対象の日本酒セミナーの講師も引き受けている。
松崎氏は「大学生の頃から日本酒に興味を持ち、地方に旅行しては蔵元を訪ねて歩いていた」ほどの日本酒好き。特に米を磨きこむ吟醸酒の世界に魅かれたという。入社した西武百貨店でも、香港での日本酒出店を手掛けた。そのときのノウハウが海外でのマーケティング機能の開発につながっているという。
「日本人にとって日本酒は身近にありすぎるという面がある。業界の情報発信も甘口か辛口かくらいで、特定の産地や銘柄に人気が殺到するなど成熟しているとはいえない」「むしろ海外の方が体系的に学び、熱心。やりようによってはまだまだ広げられる。もちろん国内での啓蒙・普及を怠ってはいけないが」と語る。
国や都市名でいえばニューヨーク、ロサンゼルス、サンフランシスコ、ラスベガス、シカゴなどで、これからは台湾、韓国が有力だという。
以上のビジネスをBtoBとすると、デリカネットワークサービスはBtoC、消費者向けの食品卸流通販売業だ。日本の食文化の魅力は日本酒だけではない。このことに気付いた松崎氏は、日本の食材やお菓子を独自に販売するルートを作ってきた。
ホームページの「ここだけ屋」(http://www.kokodakeya.co.jp)でその商品群をみることができるが、青山の人気のフレンチ店「ランス」のシェフが監修したチーズケーキなど「ここだけ」でしか手に入らない名品を揃えている。大手流通業者には扱えない逸品を発掘し、すでに百貨店や有力ギフト会社と取引実績がある。その美味しさは海外でも認められ始めており夢は広がっている。(10/22)
松崎晴雄(まつざき・はるお)
1960年横浜市生まれ。83年上智大学外国語学部イスパニア語(スペイン語)学科卒業、西武百貨店入社。八王子店、商品部、渋谷店で食品・和洋酒売場、バイヤーを担当。97年退社、酒類ジャーナリスト、コンサルタントとして独立。著書に「日本酒をまるごと楽しむ!」(新風舎)、「新版・日本酒ガイドブック Tastes of 1635」(柴田書店)、「日本酒のテキスト」(同友館)など多数。


