〈奥行き拡大に冬場需要など掘り起し〉
「当社調査ではデザートを食べる時間帯は、3時のおやつよりも夜が多く、特に若い人にこの傾向が強い。購入減少の理由はカロリーが気になる、であり、こうしたデータから、喫食頻度を増やすには気兼ねなく食べられるプリンが必要と考え、夜用プリン(やさしさ仕立ての焼プリン)を投入した」(森永乳業)。

スーパーやコンビニで売られているNBデザートは、モンテールなどの手作り系スイーツやアイス、菓子と競合し、縮小傾向が続いている。最大手の森永乳業が、生産工場の集約化でこの数年でアイテムを大幅に削減し売れ筋品へ集中、各社もロングセラー商品へ経営資源を集中し、その結果、定番商品が店頭に年中並び、消費者にとっては目新しさに欠けた売り場となり、需要が一層競合品へ流れた。

流出先はこのほかヨーグルトがあり、17年度下期からようやく流出が止まったとの見方も。森永乳業がカロリー・糖質控えめの夜用プリンを投入した背景も、喫食調査データだけでなく、ヨーグルト市場拡大の原動力となったのが「機能性」で底固い需要が続いていること、江崎グリコの健康軸アイス「SUNAO」の市場定着があり、嗜好品でもヘルシー軸が今ならいけると、満を持しての発売だった。ただ、「メーンになることはない」と、あくまでも一つの軸として育成していく。

17年度NBデザート市場900億円弱の内訳は、本紙推計でプリンが400億円強、カップゼリーが約400億円、チーズデザートやアジアン系などその他が約80億円。うちプリンはチルドが占めており焼プリンは約100億円、江崎グリコ「プッチンプリン」などゲルプリンと、協同乳業「カスタードプリン」など蒸しプリン合計で300億円強。ゼリーはチルドゼリーが150億円強、常温カップゼリーが約250億円(一口ゼリーなどカップ以外を含めると約400億円)。間口、奥行きともに下降傾向気味。

ただ全体的に停滞している中でも、CPの良い商品は売れている。ラインアップ拡充も後押ししているが、オハヨー乳業「ジャージー牛乳プリン」が、商品の完成度が高いと評価され、またアンデイコの「北海道チーズケーキ」もリピーターを掴んでおり、チルドゼリーでは引き続きフジッコ「フルーツセラピー」が伸長、確かなおいしさと価格のバランスが見合うもの、価値あるものは需要があることを示した。

18年度市場は引き続き微減傾向が続くとの見方が大勢だが、シェアが高い各社のアイテム集約もひとまず落ち着くため、底を打って反転していく流れに期待がかかる。間口拡大については、森永乳業の夜用プリンによる女性や若者の獲得、大容量商品による大人男性の獲得などで実現できそうで、奥行き拡大については江崎グリコ「プッチンプリン」の『コト売り』マーケティング、夏商材とされるゼリーの冬場需要開拓で進められるか注目。

最も競合する手作り系デザートの市場も飽和状態で、ブランドコラボで一時は盛り上がるものの、成長曲線は鈍化しつつあるとの見方があり、NBデザートが新たな価値提供で巻き返していくチャンスは大いにある。定番商品の拡販をベースに、既存品、新商品を新しいアプローチを使っていかに売り上げの上積みを図っていくのか、各社戦略に関心が集まる。

〈食品産業新聞 2018年5月14日付デザート特集より〉