伊藤ハム執行役員食肉事業本部 国内食肉本部副本部長国内ポートリー部部長

伊藤ハム執行役員食肉事業本部 国内食肉本部副本部長国内ポートリー部部長

陶 愼陽

とう・しんよう

1964年生まれ。1988年3月東海大学農学部卒業。1988年4月伊藤ハム入社。2017年4月執行役員就任。座右の銘は「大事な事はめんどくさい」。趣味は食べ呑み歩き(酒場放浪)とスキー。

伊藤ハムと米久は2016年4月1日、両社の完全親会社となる伊藤ハム米久ホールディングス(HD)を設立した。

伊藤ハム米久HDは、16年から5年間を対象とする中期経営計画2020で、21年3月期に売上高1兆円、経常利益300億円、経常利益のうち経営統合によるシナジー効果50億円の目標を掲げている。成長へ向け、人事交流を含め両社は様々な面で協力を進める。物流や直接貿易の共同利用などシステムや規模による効果は既に生まれており、今後も広がっていく。この春には、両社の調達部門が一つのフロアで働く取り組みも始まった。

陶氏は調達部門の協力の中で「鶏肉は、牛や豚に比べ生産から販売までのサイクルが早い分、最初に統合によるシナジー効果が、扱い量の増加や総利益の増加となって現れると考えている。元は別の企業だったのだから、協力していくには当然ハードルはあるが、鶏の部門が意識して取り組むことで協力の成果を出していきたい」ポートリー部門で、統合という大きなチャレンジをリードしていく考えだ。

両社の鶏肉部門は得意分野に特徴があり、伊藤ハムは国産生産部門を持たず輸入鶏肉の取り扱いを得意としており、米久は生産を含め国産を得意としている。このため「それぞれの強みを利用し合える。米久が持つ生産のノウハウやコストについての情報を伊藤ハムが活用したり、伊藤ハムの直接貿易を米久が活用している」という。「効果の見えやすい、汎用性の高い食肉であるから協力体制もとりやすい。ここで成功事例をどんどん作っていく。お互いが協力して成功事例を作っていくのに向いた商品と考えている。共に成長していく関係を作り上げたい」。

協力体制を作り上げる一方で、両社の切磋琢磨(せっさたくま)も重視する。「HD化でいい効果をうまく生んでいくことが大事である。単純に1足す1が2になるかというと、そうとは限らない。別な会社であることにも意味がある。販売は協業すれば良い部分もあれば競い合った方が良い部分もある。調達においても、物流のように協業メリットが見えやすいものも有れば、為替予約のように、それぞれが自立していた方がリスクヘッジになる事もある。その中で、HDとして、能力のあるメンバーが一緒になって、通過点としての1兆円を目指す。譲り合いでは意味はなく、競争は残る。しかし、エネルギーは外に向ける」という。

業界内で前例のない大きな経営統合については「少子高齢化、人口減少社会の中、自動車、流通・小売り、金融機関とありとあらゆる業界で再編が進んでいる。ハム・ソーセージ、食肉では、ほかの業界に比べ、同じ意味では大規模な再編は進んでこなかった。そのままで生き残れるとは考えられない。ここで終わるのではなくさらに進んでいく。そうでなければ生き残れない。

業界再編の方向へ走り出したトップランナーの2社であるから、どんどん先に進まなければならない。ほかの業界での統合はリストラの話もよく聞く。しかし、伊藤ハム米久HDは1兆円を通過点とした大きな成長を目指している。人を減らしている余裕はない」と力強く語っている。

〈食品産業新聞2017年11月20日付より〉