三島食品代表取締役社長 末貞操氏

三島食品代表取締役社長

末貞操

すえさだ みさお

1958年広島県広島市生まれ、81年広島大学水畜産学部卒業、同年三島食品入社、2011年常務取締役営業本部長兼生産本部長、17年4月社長就任。

1958年広島県広島市生まれ、81年広島大学水畜産学部卒業、同年三島食品入社、2011年常務取締役営業本部長兼生産本部長、17年4月社長就任。

現在7年連続売上高を更新中で、前期約139億円から今期も1.5%増を目標に順調に推移しているのが「ゆかり」などのふりかけで有名な三島食品だ。末貞社長は大卒後に研究員で同社に入社、工場の品質管理を経て工場長を務め生産本部長となった。更に生産現場のコンピューター化を図り、見える化を推進させた実績をかわれて、営業経験のないまま営業本部長に就任し、今年4月に新社長に就任した珍しいタイプである。

営業本部長になった2009年は、前年秋のゆかり類の値上げが浸透せず会社がピンチを迎えた。経営陣の中で今後の対策として、値上げを戻す、新商品を投入、値を戻さず諸条件を変えるなど意見が三つに分かれた。意見の対立する中、当時営業本部長になったばかりの末貞氏は、市況の反発が厳しくなる中、3ケ月建値継続案を試し、見定めた後に実際の価格は調整してでも建値を貫くと最終決断し推進した。これが奏功し翌10年以降増収を更新し続ける。現象を良く観察、即断即決せず足を降ろす場所を確認し難関を脱出した。まさに現場・現物・現実の三現主義を地で行なった。

その流れで同社が打ち出したのが「脇役戦略」だ。良い商品を作る事を基本にした上で主役の自負を捨て、素材を引き立たせる様々な調味料としてのメニュー提案を工夫した。同社品をちょっと使うだけで価格を上げられ販売量が増えるなど、お役に立つ、いぶし銀のような脇役を目指して出番も増えた。今では社員に「道を歩くのも脇を歩け」と心構えを冗談に出すほどだ。

「人手不足や時短の対策にも加工食品は大いに活用できるし、ものづくりの会社から見ればチャンス。営業畑がド素人だったから全てフレッシュに見えたのが良かった」と振り返る。

最近では混ぜご飯の素で冷凍温度帯の流通となる「マイナス18℃保存食品」という新商品を開発し、保存期間を大幅に伸ばした。また、SNSから火がつき「ゆかり三姉妹」として「ゆかり」に並び「かおり」が300%、「あかり」も150%伸びたという。

驚くべきことに末貞氏は「公認変人認定委員長」の肩書を持つ。業務に直接的関係はないが、優れた能力を持つ社員を「変人(変化を起こせる人)」と呼び、現在2人を発掘中だ。本来能力があるのに日の目を見なかった人にスポットを当て、一人は手塚治虫ばりのベレー帽をかぶり一日中営業提案用の漫画イラストを描き、もう1人は7月7日を赤シソの日と命名した人で、共に輝かしい檜舞台で働いている。

同社にはお客様視察コースが3つあり、通常の工場視察の他、営業拠点を視察するチャレンジコースに加え、変人二人と会食しながら人材活用をテーマに視察懇談するマニアックコースもある。これは二人の指定日に限られるが、過去に卸とメーカーの2人の社長が同コースを体験している。

三島豊前社長(現会長)の手掛けた、本来の業務とは別に自身の得意分野を仕事として活用する「B面活動」の延長線上にあるのか、「わくわくする会社になればお客さまの喜ぶ商品も生まれる。そんな会社にしたい」と笑うが、7年連続の増収で工場生産能力も限界にあり、工場を新築するのも夢という。

〈食品産業新聞2017年12月11日付より〉