アイリスフーズ 山田次郎社長

アイリスフーズ社長

山田次郎

やまだ じろう

1968年(昭和43年)生まれ。1994(平成6)年、アイリスオーヤマ入社。北関東支店支店長、ホーム事業部事業部長、米飯事業部(現・食品事業部)事業部長などを経て、2015(平成27)年、アイリスオーヤマ執行役員に就任。2017(平成29)年からアイリスフーズ取締役社長を兼任。

アイリスオーヤマ(大山健太郎社長)のグループ会社で食品の販売事業を担うアイリスフーズ。精米事業参入から4年目を迎え、今年8月には角田工場(宮城)でパックご飯の自社生産を開始するなど、積極的な投資を行っている。

2013年10月、アイリスオーヤマは角田工場で精米事業のテストマーケティングを開始、同年11月にはアイリスフーズを設立した。2014年7月に舞台ファーム(針生信夫代表)との共同出資で設立した舞台アグリイノベーションが亘理精米工場(宮城)を稼働し、米事業へ本格参入した経緯がある。現在は、精米・もち・パックご飯の3本柱の供給力が整い、「来年からが正念場だと思っている」とアイリスフーズの山田次郎社長は話す。

そもそも、何故アイリスグループが異業種である米事業に参入したのか。山田社長は東日本大震災が契機だと話す。「アイリスオーヤマは東北に本社を構えていることからも、被災地復興支援が必要だと考えたのがそもそもの始まり。そこで農業、特に米農家から東北を元気に出来ないかと考え、精米事業に参入した」震災から7年がたとうとしている現在でも、米穀業界では風評被害の問題が続いている。それに対し同社では、生産者と協力した復興支援も始めた。「避難指示区域だった福島・南相馬の水田で、農家の方々らと一緒に米を生産し、今年は約50tを(舞台アグリイノベーションが)全量買取した。福島米は我々が先頭に立って、東北と首都圏でどう売っていくかを考えていく」。

一方、販売面では、消費者ニーズに応えた食べきりサイズの小容量製品と、玄米の保管から精米包装まで全ての工程を15℃以下で行う「低温製法米」でそのシェアを伸ばしてきた。「アイリスオーヤマがペットフード事業に参入したときに、その当時メーンだった10kg大袋から、500kgの小袋をセットにする形で成功した。小袋のほうが鮮度も高くおいしいと評判だったので、米事業でも小容量をお客様目線で出した」とし、「アイリス本体では炊飯器も販売しているが、そこでの開発の際に得られたデータはパックご飯の開発にも活用している。アイリスグループとしての効果が発揮された好例」とする。

ただし、同社製品は低温製法米という付加価値のため、価格は通常の1.3倍ほどだ。この点、山田社長は「グループ全体の方針としては、食品事業はある種の社会貢献であり、アイリスオーヤマ本体と最初から同じ利益は求めていない。

もちろん、利益は出すが、低価格路線で勝負する気は無い」とし、「今は商品コンセプトをお客様も支持してくれるようになり、どの製品も『味がおいしい』と評判だ。今後はスーパーなど、まだシェアが小さいところを伸ばしていきたい」。

「うちは一匹狼みたいなもの」と称する山田社長。「低温製法米」「小容量」という、従来の米業界には無かった“群れの外”からの発想で、さらなる飛躍を遂げる。

〈食品産業新聞2017年12月18日付より〉