「水と生きる」をプロミスに、水領域に注力した活動を推進 サントリー食品インターナショナル〈サステナビリティの取り組み〉

次世代環境教育の「水育(みずいく)」
〈未来に水を引き継ぐ〉
サントリー食品インターナショナルは、18年2月にプロミス(社会との約束)を制定し、「水と生きる」を掲げる会社として、自然を大切にし、社会を潤し、そして新たな挑戦を続けるとした。環境経営を推進し、新たに「2030年目標」を設定。「水」は、グローバルで自社工場の水使用量を15%削減。「CO2」は、容器軽量化や再生素材容器の推進などにより、グローバルで自社拠点のCO2排出量を25%削減、自社拠点以外のバリューチェーン全体では20%削減することを掲げた。「水」は生命の源であり、同社事業の源泉でもあることから、「水領域に注力した活動」を推進し、グローバルに展開する考え。国内の「水を育む森づくり」は、17年3月時点で総面積9000ha(東京ディズニーランド約176個分)まで広がっている。

グローバルに飲料事業を展開する企業として、また「水と生きる」企業として、グループ全体でサントリーの「水理念」を共有し、世界各地域の水課題の解決に貢献する取り組みを進めている。そのひとつとして、良質な地下水の持続可能性を保全するために、03年から各地の行政や森林保有者と数十年にわたる中長期の契約を結び、サントリー「天然水の森」として水を育む森づくりを行っている。17年3月までに、14都道府県、20カ所、総面積約9000haにのぼり、工場に汲み上げる量以上の地下水を生み出す森を育んでいる。「天然水の森」での森林整備体験には、これまで累計7133人の社員が参加し、水を育む森の役割と重要性を体感することで、「水理念」の理解を深めているという。

18年で15年目を迎える次世代環境教育「水育」は、未来に水を引き継ぐために何ができるかを考える次世代教育プログラム。「森と水の学校」は、小学3~6年生とその保護者を対象に、「サントリー天然水」を育む自然を体験することを通じて、「水を育む森や自然の大切さ」を学ぶ。また、小学校で行う「出張授業」では、映像や実験を通して、水を育む自然の仕組みや大切さを伝える。こうした活動は17年までに約14万5000人の子どもたちが参加した。15年からは、ベトナムでも「水育」を実施。水の大切さや衛生管理、水源保全の重要性を学ぶ授業に加え、現地の工場見学も行っている。地域ごとの課題に合わせた内容にしている点が特徴だ。

〈容器包装の環境負荷を低減、PETボトルの「2R+B」戦略〉
容器包装の環境負荷低減も積極展開し、特にPETボトルは、独自の「2R+B」(Reduce=使う量を減らす、Recycle=繰り返し使う+Bio=植物由来の資源)戦略で、環境への配慮と使いやすさを併せ持つ容器開発に注力。樹脂使用量の削減と再生素材の活用により資源の有効利用を図るとともに、CO2排出量削減にも貢献する。

これまでの主な容器・包装の活動は、10年11月「国内初のリサイクルPETを利用したロールラベル導入」、11年5月「国内初のBtoBメカニカルリサイクルシステム導入」、12年3月「国産最薄18µmのシュリンクラベル導入」、同4月「再生PET樹脂100%使用のPET導入」、13年2月「国産最軽量29.8gの2LPET導入」、同5月「国産最軽量11.3gの550mlPET導入」、16年春「世界初、植物由来原料30%使用のキャップ導入」などがある。

2014年4月には国産最薄12µmのロールラベルを導入

2014年4月には国産最薄12µmのロールラベルを導入

そして、今年は飲料用PETプリフォーム製造において「FtoPダイレクトリサイクル技術」を協栄産業などと共同で開発し、PET商品の一部に18年夏から順次採用している。
 
同技術は、回収したペットボトルを粉砕・洗浄した「フレーク」を高温、減圧下で処理し、溶解・ろ過後に直接「プリフォーム」を製造できる。プリフォーム製造までに多くの工程が必要だった従来に比べCO2排出量を約25%削減できる。長年、PETリサイクルに取り組んできた同社ならではのイノベーションだ。
 
〈食品産業新聞 2018年10月15日付より〉