食品量販店3月期-既存店と営業利益で明暗

◎価格対応と商品力で格差

sM(食品スーパー)やドラッグストア、Ds(ディスカウントストア)など、食品を主力商品として扱う各種量販店12社の2017年3月期第2四半期決算は、既存店と営業利益で好不調が明確に分かれた。節約志向の高まり、業態を超えた競合店の増加、人件費や原価の上昇など悪条件が重なったが、既存店売上高を伸ばしてコスト増を補えたチェーンと、そうでないチェーンで明暗が分かれた。

営業収益は新店の上乗せなどで、10社で増収となったが、営業利益の増益は6社にとどまった。既存店売り上げを伸ばしたのは12社中7社(数値非公表のマキヤも伸長)。既存店が伸長したチェーンの多くは、売上総利益率を下げており、節約志向に対する価格対応をしっかり行えたところが、既存店の売上高を伸ばしたと言える。

ただ、既存店の業績を分析すると、客数を伸ばしたところは、ヤオコー(埼玉、0・6%増)、サミット(東京、3・5%増)、マキヤ(静岡、0・9%増)の3社にとどまった。ヤオコーは4期連続、サミットは2期連続で客数を伸ばした。

3・5%増と客数の伸び率が圧倒的に高かったサミットは、売上総利益率の下がり方は12社中最大の0・6ポイント。竹野浩樹社長は、「売価政策は個店別にメリハリをつけて細かくやっていく。新MDであったらいいなという商品開発を進めている。昨年はかなりの品目を値下げしたが、客単価(0・3%増)は下がっていない。消耗戦に巻き込まれないよう、競合店に価格は合わせるが、これ以上は下げない」と話した。

ヤオコーは1日50個以上売れる名物商品の開発を強化しており、商品力で客数を増やす戦略が功を奏した。前期は50個までもう1歩という商品の積極的な売り込みも行い、惣菜のやきとりや細巻寿司などが50個以上の商品に加わってきた。ワンランク上のPB(プライベートブランド)「イエス!プレミアム」の開発も強化し、前期はシューマイ、キムチなどがヒットした。北海道産はちみつと指定農園のサツマイモを使った大学芋など原料から入り込んだ商品開発、直輸入の果物やワインなど他社にない商品を増やして商圏内のシェアを高めてきた。

減収となった2社のうち、酒販専門店のやまや(宮城)は、震災や台風など自然災害も重なり、「消費意欲の減退が顕在化した」(山内秀康社長)ことが響いた。天候不順で夏場のビールが低調だったこと、外食店向けの業務用の売り上げ減、低価格ワインの伸長なども減収の要因となった。

ヤマナカ(愛知)は、レギュラー業態の既存店売上高は前年並みだったが、これまで業績をけん引していた高質業態「フランテ」が2・6%減と失速したことが響いた。低価格業態「ザ・チャレンジハウス」も4・7%減。中野義久社長は減収減益の要因について、「外的要因があったが、根本は内的要因だと猛省している。ここ数年の業績回復基調で、経営が攻めから守りに入っていた」と話した。