上期の食料支出1.3%減少、節約志向が食料品にまで 中食系は14.1%と過去最高

今年上期(1~6月)の食料支出は野菜を除く生鮮品や酒類、外食が揃って減少したことから、1.3%減少した。総務省がこのほど発表した1~6月の家計消費支出からわかった。長引く不況感と所得の伸び悩みから、上期消費支出は0.5%減だったが、食料費の減少幅はそれを上回った。また、内食比率は前年比0.2ポイント低下し43.2%。本紙がこの統計を取り始めた06年以降では最低となった。

逆に中食系は14・1%で過去最高。総務省の家計消費支出は6月分まで発表されているが、本紙は上半期分(1~6月、二人以上の世帯)を集計した。まず消費支出は168万5622円で前年同期比0.5%減少。上半期だけで見ると14年までの3年連続の増加から一転、3年連続で減少(15年上期は2.0%減)した。

消費支出金額は11年のレベルであり、しかも14年3月以降は消費増税分も含まれており、実質的な消費支出の減少は数字以上に大きくなっている。所得の伸び悩みや将来不安が背景にあるだろう。

一方、食料支出も45万1333円で1.3%減。世帯人数が減少しているが、1人当たりでも0.7%減になる。しかも、16年、15年とも消費支出が減少したにもかかわらず食料支出は増加、14年は消費の1.5%増に対し食料は2.2%増と、食料費は支出に対して優遇されていたが、17年は消費支出よりも大きな減少となった。生鮮品価格に落ち着きが見られたとはいえ、節約志向がついに食料品にまで及んだ可能性がある。

分野別の支出額を表1に示した。野菜摂取志向からか野菜・海藻と中食系の調理食品が微増、飲料は天候が順調だったことから1.1%増。それ以外の項目は減少しているが、単価上昇の魚介類、節約のターゲットになった可能性がある酒類の減少幅が大きい。

表2に購入数量の統計もある代表的な項目の金額、数量、単価の前年同期比を示した。単価上昇の米、生鮮魚介は購入量が大きく減少、生鮮果実は単価下降で購入量が伸びた。生鮮野菜は単価がやや上昇したが、購入金額・購入量とも1%前後増加しており、野菜摂取志向が伺われる。ただ、鶏肉など安い肉へのシフトの結果、単価下降という動きもある。

次に食料費の全項目を内食系(素材系)、中食系、外食系、嗜好品の4分野に分け集計した(表3)。その結果、今年上半期の内食系比率は43.2%となった。ピークの08年には45.0%まで上昇したが、その後減少、15年にやや上昇したが、減少傾向は続いており、17年は過去最低となった。

穀類、魚介類が食料支出の減少を上回って減少したのが要因。なお、穀類では米が大きく減少(表2)、パンも金額は2.8%減、数量は1.4%微、生麺は数量微増だが乾麺は数量減少と主食系の減少を見ると、内食(家庭内調理)離れは加速しているのかもしれない。ここ数年、上昇傾向にあった中食比率は14.1%で当社が分析した06年以降では最高。中心となる調理食品が食料支出を大きく上回る0.3%増。冷食の米飯類の好調さも要因。

嗜好品は前年と同じ比率。酒類、菓子の減少を飲料がカバーした。ヨーグルト、チーズも嗜好品に分類しているが、2つ合計ではほぼ前年並み。

外食は18.1%で前年並み。ファストフードなどで好調な分野もあるが、やはり節約志向が出ている。