今年の夏物 西高東低 7月まで好調も8月に失速 ビール、アイスなど苦戦

今年の夏物は、西高東低だった。7月は九州豪雨などもあったが、全国的には夏らしくなった。しかし8月は、東京で22日間連続の雨を観測したように東日本は低温に推移し、ビール類、アイス、そうめんなどは苦戦した。一方、西日本は7、8月とも平均最高気温が平年より1~2℃高く、昨年に次ぐ暑い夏となり、夏物はほぼ順調に推移。表に7~8月の気象概況を示した。以下、主要品目の今夏の販売動向をまとめた。

【ビール類】本紙が推定した8月のビール4社のビール類販売数量は、前年比93.9%。6~8月でもほぼ同様の数字となった。最盛期の大幅マイナスに関係者は衝撃を受けている。現時点である程度の調整はあるとはいえ、改正酒税法施行による店頭売価上昇が、家庭用消費に影響している。また、東日本・北日本の天候不順が業務用消費を直撃した。1~8月累計では98.2%と1~7月累計から0.7ポイント下落した。

メーカーや流通からは「お盆のピーク時は、チラシの投入量は5月並みに戻っている。しかし実需がそれに伴っていない」「9月以降、劇的に潮目が変わるという期待は持てない。消費の回復がどのようなスピードになるのか見通せない」と焦りの色が濃くなっている。

【飲料】気象庁の猛暑予想が外れ、8月は関東を中心に記録的な雨が続いたことで、清涼飲料市場は大打撃を受けた。7月実績は前年比7%増と大きく伸ばしたが、8月実績は同5%減の見込み。なお、1~8月累計は同1%増で着地したもよう。各メーカーは頭を切り替え、秋に本格商戦が始まるコーヒーを中心としたホット飲料の盛り上げる施策にすでに取り組んでいる。

【アイス】市況は7月までの好調から一転、8月単月は前年比約7%減(ほぼ全社が前年割れ、中でも氷菓が多い企業は2ケタ減)となったことから、4~8月累計は2%弱増で推移。9月は7日現在までは前年を上回っており、昨年9月の大きなハードル(18%増)を超えるのは難しい予想ながらも、この2年連続で急拡大した市場に対しては、かなり健闘している状況だ。

アイス市場は16年度が6.3%増の4939億円、17年度は2%増となれば5000億円達成となる。今年の下期は、定着した「冬アイス」を、より具体的にした「スイーツアイス提案」が流行りそうで、下期も前年のハードルは高いものの通期で2%増以上、史上最高記録更新となるか注目だ。

【そうめん】ゴールデンウィーク明けは気温も上がり、快調なスタートだった。テレビや雑誌などのメディアでもそうめんが取り上げられることが多く、波に乗るかと思われたが、8月に入って失速、関東地方の天候不良も大きく影響した。中元はここ数年シュリンク傾向にあり、その状況は変わらないが、今夏は単品も苦戦した。山の日(8月11日)により、お盆のスタートが早まったことも影響しているのではと分析するところもある。

【流水麺】シマダヤの「流水麺」の直近の動きは4~7月は好調に動き、前年同期をクリア。素材麺、カップ「流水麺」、調理麺ともに良い動きを示した。8月は天候不順の影響で奮わなかったものの、近年は最需要期の夏場のみならず9~10月も伸びる傾向にあり「9月が例年のような残暑となれば、第2四半期も前年同期をクリアできるのでは」(同社)と見る。

「流水麺」の素材麺はこれまで、関東のみ年間を通じて販売していた。今期からは、新たに名古屋・関西地区でも年間商材として展開する。また、温かいつゆにつけて食べるメニュー提案等も行っており、秋冬の活性化にも期待できそうだ。また「流水麺」は来年30周年を迎える。「30周年に向けて取組も考えていきたい」(同社)としており、今後の動向に注目だ。