現代の家庭内調理での最も大きなニーズの一つが「簡便」だ。調理した料理には、安全・安心、おいしさ、栄養バランスなどに加え、母・妻の手作り感も重要だ。一方、「簡便」は社会構造の変化を背景として近年に顕在化した作り手側のニーズであり、即席食品や調理冷食、各種調味料などがこれに応える。さらに近年、簡便よりももっと容易な「即食」が顕在化している。惣菜、弁当などいわゆる中食が知られるが、加工食品でも袋物惣菜、自然解凍調理冷食、レンジ対応食品などはほぼ調理不要で食べられる。賞味期限が中食に比べて長いため、ロスが少ないのも特徴。食品メーカーではさまざま工夫を凝らして、簡便・即食ニーズに応えた商品開発を行っている。


〈メーカー各社、工夫凝らし対応〉

社会構造の変化などから、現在の加工食品に求められる大きな要素の一つが「簡便・即食」だ。グラフに世帯構造と平均人員の推移を示した。単身世帯、夫婦のみ、高齢者世帯が増加、夫婦と子供の核家族が減少し世帯人員も徐々に減少している。さらに有職主婦の増加もある。また、各種の調査でも、最近の若年主婦の調理離れや調理スキルの低下が認められている。こうした変化が「簡便・即食」ニーズを顕在化させている。

まず、簡便調理とは素材の下処理やだし取りなどを必要とせず、また和洋の基礎調味料をほとんど使わずに、おいしい料理を簡単にかつ素早く作ること。そのために用意されているのが、濃縮つゆ・たれ類やメニュー用調味料、うま味・風味調味料、炊き込みご飯の素などがあるし、即席麺、即席味噌汁、粉末スープなども該当する。冷凍野菜、冷凍切り身魚などもある。

代表的な簡便調理用食品であるメニュー用調味料には煮物用や野菜の和え物など和風系や、手作り用スープの素、ご飯用洋風ソースなど新たな提案が活発化している。

インスタント食品の代表格の即席麺は昨今、新技術でおいしさを追求した袋麺の生麺風が各社から発売され、既に主力カテゴリーだ。ただ、袋麺は具材を必要とするので、調理的要素は高い。そこで、より簡便なカップタイプの方が簡便ニーズを満たす。

一方、「簡便」をさらに進めたのが「即食」だ。弁当、惣菜、調理パンなどいわゆる中食は即食の代表。本当に手軽で便利だが、日配品でもあり、販売側にとっては消費期限が短いという難点がある。

そこで、登場したのが袋物惣菜といわれる1カ月程度の賞味期限がある惣菜だ。練り物サラダ、野菜・豆類の煮物、煮魚・焼き魚、スープ・豚汁などの汁類、おでんなどが代表的。開封後、そのまま、あるいはレンジ加熱などで食べられる。

なお、レンジ加熱対応の専用容器入りの惣菜、スープが市場をにぎわせている。パスタソースも登場した。またハムカツなど揚げ物をチルドで提供する例もある。

こうした新しいタイプの即食加工食品はレトルトカレー類、缶・瓶詰、無菌米飯、カップ麺、乾燥スープや即席味噌汁など伝統的な食品にも改めてスポットをあてることになる。

一方、冷食では調理食品が代表的な即食対応だ。自然解凍による弁当への対応、新製法による高品質化、レンジ加熱で食べられる揚げ物や米飯類などが「簡便調理」を通過して即食を実現している。

〈食品産業新聞2017年10月30日付より〉