今年の歳暮ギフト商品 改めて注目集まる「日本」

各地の鍋ギフトは地域の伝統を掘り起こす品目(そごう横浜店)
小売各社の2017年歳暮ギフトは、「日本」に注目した商品が目立つ。キーワードは「老舗」「目利き」。今歳暮では来年10月に豊洲へ移転予定で、歳暮として扱えるのは最後となる東京・築地市場の目利きが選んだ生鮮ギフトが数社から登場した。近年のブームもあり、「大豆」「発酵食品」など日本の伝統的な食品を取り上げるところも多い。人気のスイーツも今年は「和菓子」を拡充したところが増えた。

東京・銀座に本店を構える松屋は、中元・歳暮を通じて、長年銀座や東京の名店、目利きを特集してきたが、今回初めて「築地」を取り上げた。プロが使う仲卸からの本まぐろ、老舗鶏肉店の合鴨鍋、老舗玉子焼き店からの玉子焼きと伊達巻のセットなどを用意した。

CVS(コンビニエンスストア)も築地に注目する。セブン‐イレブン・ジャパンは伝統の婦人誌「家庭画報」と組み、築地の場外市場「築地魚河岸」を特集した。スリーエフは築地市場の目利き人、渡辺敬一氏が選んだ全国からの海産メニューをカタログ巻頭で特集した。

中元・歳暮ギフトは数年前までは「世界の美食」という観点から、「洋食」を充実させる傾向が強かったが、ここ数年は「和食」へのシフトが進んでいる。「和食」がユネスコの無形文化遺産に登録されたこと、訪日観光客が年々増えていることなどもあり、日本の隠れた逸品を掘り起こそうという機運は高まっている。今年は大政奉還から150年目にあたることも、改めて「日本」に注目が集まっている背景にはある。

西郷隆盛の出身地「鹿児島」を特集した小田急百貨店は、トカラ列島の伝統漁法「一本釣り」による金目鯛の煮付けや奄美の伝統食「鶏飯」をギフトにした。高島屋は明治維新で活躍した山口(長州)、高知(土佐)、鹿児島(薩摩)の3地域を取り上げ、各地域の生産者や老舗がコラボした新メニューをギフトに仕立てた。

「発酵食品」をテーマにした京王百貨店は大吟醸粕漬け、いしる(魚醤)を使った麹漬け、なれずしなど日本各地の伝統食を提案した。東急百貨店は創業170年で日本唯一の金平糖専門店や、秋田の希少な栗を使った栗大福など和菓子を強化した。そごう・西武は日本の伝統のスーパーフード「大豆」をテーマに掲げ、イトーヨーカ堂は和食の基本「だし」に注目し、ローソンは「豆腐・豆乳」を特集する。

中元・歳暮ギフトは法人需要や儀礼の減少により、個人需要に頼る傾向が高まっている。お世話になった人への贈りものという本来の目的から、個人の「お取り寄せ」へ、目的が変化してきている。特に歳暮は年末年始に家族や友人が集まり、皆でおいしいものを食べるという場で使われることも増えてきた。歳暮の定番である日本各地の鍋ギフトも、地域の歴史と伝統を改めて掘り起すという意味でも、重要な品目になってきている。

〈食品産業新聞2017年11月13日付より〉