○ 少子高齢化が本格化

○ 人口構造の変化は着実に進行

2017年明けましておめでとうございます。

昨年は食品産業界にとって大きな制度改革や将来の変革につながる出来事が目白押しでした。まず原料原産地の表示が全ての加工食品に課されることが決まりました。重量比率1位の原料について、原産国を表示するが、ラベル表示に固執するあまり、例外規定が多く、表示そのものが消費者の求めるものとは異なる方向に向かっているとの指摘もあるようです。法律に従った表示を行ったことで、消費者の信頼を失うようなことはあってはならないはずです。

また、全てのフードチェーンに対してHACCPによる衛生管理の義務付けの流れが確定しました。HACCPの要件を満たす基準Aに対応できる企業はすでに何らかの管理体制を取っているとみられますが、中小・零細企業にとっては、かなり厳しいケースも予想されることから、基準Bについては弾力的な運用を求めたいところです。

一方、11月のアメリカ大統領選挙では大方の予想に反して共和党のトランプ氏が勝利しました。選挙後から活発な発言により、すでに国際的にも政治・経済にトランプ氏の影響が出ています。そして我が国食品業界にとっても2つほど大きな影響が見られます。

一つはTPP(環太平洋パートナーシップ)の行方です。我が国の国会ではTPPへの批准を可決しましたが、トランプ氏は批准しないことを公言しており、TPPの発効は非常に難しい状況です。農業・食品分野では重要品目を含めて関税撤廃へのスケジュールがきまっていたわけで、ひとまずは落ち着いた感があります。しかし、アメリカとの2国間自由貿易協定へ進んだ場合、TPPの条件が生き返る可能性があります。また交渉中のEUとの経済連携協定でもTPPの条件がたたき台になっている可能性が否定できません。

もう一つが為替です。当初、トランプ当選ならさらなる円高と言われましたが、実際は大幅な円安に振れました。小麦、大豆、トウモロコシ、乳製品など食品原料を輸入に頼る我が国にとって円安は、国内調達価格の上昇に直結します。米連邦準備制度理事会の政策金利引き上げの決定もドル高に作用します。

幸い国際価格は落ち着いていますが、円安によって価格改定に踏み切らざるを得ない業種が出てくることも考えられます。石油輸出国機構の減産同意にロシアも同調したことで、原油価格の高騰も心配されます。

国際情勢に大きく左右される我が国の食品業界ですが、今年はトランプ新大統領の就任に加え、オランダ(3月)とドイツ(9月)の議会選挙があり、5月にはフランスの新大統領が決まります。年内には英国のEU離脱の道筋がつけられます。世界はグローバリズムから保護貿易主義、ローカリズムに舵を切るのか、注目されます。その時、我が国の食品産業の取るべき道を考える必要があります。

一方、国内に目を向けると人口減、少子高齢化が本格化しており、我が国の人口構造の変化は着実に進行していきます。食品産業界は量を追う時代は去り、質的変換が求められます。

また、女性の社会進出の進展を背景に、働き方の変化が注目されます。忙しい有職主婦の増加だけでなく、高齢者の就業者や働き盛りの男性にも変化は及んでいます。そこで、今新年号では「働き方の変化と新食卓提案」を統一テーマとして掲げました。調理時間短縮を可能にするメニュー用調味料、CVs惣菜、宅配キット、また菓子、飲料などのオフィス需要、健康を意識したヨーグルトなどの機能性食品の現況から、需要創出への道を探っていきます。

最後になりましたが、食品産業新聞社は食品産業新聞、5つの日刊紙、3つの月刊誌、年鑑類の紙面を通して、正確で役に立つ情報をより早くお届けいたします。本年も食品産業新聞社の各媒体のご愛読をよろしくお願いいたします。

食品産業新聞社社長 牧田邦夫