2011年に米国食品安全強化法(FsMA)が成立し、アメリカの輸入業者を介した食品輸出は今年5月から原則として新しいルールが適用される。事後対応から予防的管理という70年ぶりの大幅な食品規制の見直しとなる。この法律ではアメリカへ輸出するメーカーに「食品安全計画」の策定が義務付けられるが、その輸出メーカーに加工原料を供給するメーカーにも一定の安全基準が求められる。ジェトロは周知徹底を図るため、1月23日に東京、25日に大阪で日米の専門家を講師に招きセミナーを開催した。

東京会場で挨拶したジェトロの高橋和宏農林水産・食品部長は「アメリカへの農林水産物・食品輸出は約1000億円で、国別で第2位、全体の4分の1を占める重要な相手国。しかも人口は増加中で日本食へのニーズも高まっている。我が国食品業界のFsMAへの対応が遅れてはいけない。ジェトロはこれまでもFsMAに関する入門セミナーなどを実施してきたが、今回はより実践的な内容を解説する」と挨拶した。

まずジェトロ・シカゴ事務所の笠原健ディレクターがFsMAの概要を説明。米国食品医薬品局(FDA)が制定したもので、人間用と動物向け食品が規制の対象。FDA管轄のため酒類(約5%以上)は対象外。日本からアメリカの輸入業者を通して食品を輸出する場合、食品輸出メーカーはFsMAに定められた危害の未然予防管理に関する規則(ヒト向け食品)(PCHF)の概念、予防的コントロールの考え方を学習し、「食品安全計画」を策定する。原則として今年5月30日から適用される。場合によっては、FDAが食品輸出メーカーの検査を行う可能性もある。

食品安全計画はハザード分析を行って、予防的コントロールを行う。ハザードとは疾病または障害を引き起こす可能性のある生物的、化学的、(放射性物質含む)、物理的な全ての媒介物のこと。ハザード分析にはプロセス、アレルゲン、サニテーション、サプライチェーンの4つがある。

これについて。講師の海澤幸生氏(食品安全プログラムマネージャー)は「すでにHACCPやFssC22000を導入している企業は食品安全システムが整っており、それを土台にして不足分を構築すればよい」と述べている。アメリカへの食品輸出を実施または計画している企業はジェトロ等のセミナーによってFsMAに対応することが必要になる。

ただ注意しなければいけないことは、食品輸出メーカー(食品製造最終業者)だけでなく、加工食品を供給するメーカーにもPCHFの概念が求められること。輸出メーカーがハザード分析を行い、自社でその加工食品をコントロールできる場合、供給メーカーは不問だが、コントロールできない場合は供給メーカーにも食品安全計画を立てるなどの対応が必要になる。また食品輸出メーカーにその管理義務も発生する。毒素を産生する菌や、高温に耐える芽胞菌、あるいは日本とやや異なる分類になるアレルゲンなどに注意が必要だ。