○ネットから店舗へ長期戦略

2017年の中元ギフトは「SNS映えする商品」という新しい切り口が出てきた。ギフト市場は法人需要の減少から、個人需要の活性化が頼みだが、親しい人やお世話になった人に贈るという本来の目的から、自分へのご褒美という方向へシフトしてきている。これまでは各地の名産の「お取り寄せ」が主だったが、今年は、「思わず写真を撮りたくなる」「SNSにアップしたくなる」という需要に対応し、「見栄えのいいもの」「面白いもの」が増えた。同時に、これまで各社が努力してきたリアル店舗への集客が減り、意図的にネットへ誘導する動きも加速してきた。

高島屋は一昨年の歳暮で、ネットの売り上げが同社売り上げ1位の横浜店(横浜市)を抜いた。ネット受注はその後も伸び続けている。同社では早期の顧客囲い込みのために、店頭とネットの双方で、先着でプレゼントを用意していたが、昨年の歳暮から店頭でのプレゼントを思い切って中止し、インセンティブはネットのみに絞り込んだ。新規顧客開拓の場を、より可能性の高いネットに特化しただけでなく、それまでギフトで店舗に足を運んでいた既存顧客のネットへの誘導も進めている。

カタログをスマホの専用アプリでスキャンするだけで、その商品のページにアクセスできる機能、画面操作に不慣れな顧客向けに、専用電話やチャットによる対応なども用意してきた。ネットへの思い切ったシフトは、来店客の減少という自らの首を絞めることでもあるが、ギフトセンターの人件費削減というメリットもある。

高島屋は自宅用カタログ「テイスティーフーズ」で、熊本県産食材を使って「くまモン」の顔に仕立てた「くまモンdeバーガー」など、SNSにアップしたくなる楽しい見栄えの商品を特集した。大丸松坂屋百貨店も、夏のギフトの定番の涼菓で、「ゼリー寄せ」など色鮮やかな商品を多く用意した。これもSNS映えを狙ったものだ。

「SNS映えする商品」という切り口は、20代などかなり若い層までターゲットを広げることができる。これまでギフトをまったく利用していなかった層に訴求でき、これらをきっかけに、若年層と百貨店の接点が生まれればという期待がある。

百貨店業界は固定客の高齢化が進み、各社が様々な手で若年層の新規顧客開拓に努めてきたが、来店客数は減少を続けている。一方でネット販売は伸長している。若年層にとっても、実際の店舗へ足を運ぶのは敷居が高いが、ネットは気軽に利用できる。若年層はまずネットから入ってもらい、いずれ店舗にも足を運んでもらおうという長期戦略だ。高島屋のネットシフトも、将来の顧客育成に向けた布石だと言える。