〈簡便性や健康・楽しさが鍵〉
食品産業新聞社が主催する第49回食品産業技術功労賞の表彰式が、受賞36件(37社)の代表および審査委員ら約200人が参加して11月13日午前11時から、東京・上野精養軒で行われた。表彰式では、弊社馬上直樹社長が受賞各社代表に表彰盾を授与、村上秀徳審査委員長が講評を兼ね挨拶した。受賞者を代表して、シュガーレディ本社の佐藤健社長が謝辞を述べた。引き続き、記念祝賀パーティーが行われた。来賓の内閣審議官兼農林水産省食料産業局の杉中淳氏が祝辞を述べた。ハイネケン・キリンのトニー・ウィーラー社長が乾杯の発声をし、歓談が行われた。

今回は6部門・特別賞の36件が受賞、部門別内訳は商品・技術部門16件、資材・機器・システム部門3件、マーケティング部門9件、国際部門2件、環境・CSR部門3件、地方発部門1件、特別賞2件。

受賞した商品やテーマを見ると、独自技術により、社会の課題を解決している商品が多い。特に、外食・給食現場の人手不足を軽減するような取り組みや、共働き家庭などの増加により時短調理のニーズに応える商品が目立っている。切り口としては、おいしさや健康を基本価値に置きながらも、簡便ニーズに応えた試みが支持されている。

商品・技術部門では、業務用で調理現場の課題解決が評価された商品が多く、ジャーで長時間保温してもおいしい業務用「ガツうま!チャーハン」、揚げずにボイルで衣のサクッとした食感が楽しめる「ボイルでサクッと」シリーズ、介護施設で簡単に食事の準備ができる「デリパック」、食事に合わせやすい味わいで料飲関係者に支持される「樽ハイ倶楽部」、また、「惣菜亭」シリーズは一貫製造ラインで製造するこだわりの卵焼きだ。

食べる人に楽しさやおいしさを提供するのは、のびるチーズが大人気となっている「クッキングモッツアレラ」、爆発的ヒットを記録しているデザートの「バスチー」、バランスよく様々な食材をとりたいニーズに応える介護食の「バランス献立」シリーズ、水いらず、油いらずに加えてフタいらずに進化させた「大阪王将 羽根つき餃子」と「羽根つきシリーズ」、新素材チューブ入り練り香辛料として新たな薬味文化を創出した「きざみ青じそ」、“大豆食×新食感”をコンセプトに生まれた「感豆富」が選ばれた。 

独自製法で健康的なおいしさを高めているのは、無塩製法とそば粉の配合で付加価値を生み出した「そば湯まで美味しい蕎麦」、発酵技術と豆乳事業のノウハウを生かした「豆乳グルト」シリーズ、風味向上やもっちり感を持続させた“ルヴァン種によるパンの品質向上”の取り組みがある。

簡便性を訴求するのは、鍋に1人分の液体濃縮タイプを提案する「プチッと調味料」、業界最速の80秒でゆであがる「オーマイ 超早ゆでマカロニ」シリーズ。

資材・機器・システム部門は、アクティブ販売の目に見えない隠れカビも除去できるAI穀物選別機、外れにくく開けやすい機能を備えた食品包装容器「強嵌合」、食品工場の省力・省人化に寄与する中設エンジの「ユーザーズエンジニアリングサービス」が受賞した。

マーケティング部門では、サミットの「総菜総選挙」などを通じてスーパーマーケットを楽しくする取り組み、業務用ハンバーグで高いシェアを誇りハンバーグブームを支えているスターゼン、フランスパン専用粉「リスドオル」が発売50周年となった日清製粉、メニューのバラエティー化で顧客拡大を図る「大きな大きな焼きおにぎり」、レンジの食べ方提案やフレーバー品投入でユーザー拡大に取り組む「シャウエッセン」、ラグビーW杯を盛り上げる施策を展開する「ハイネケン」、有名パティシエたちも支援する菓子用小麦粉のブランド「宝笠印」、カリフラワーライスを日本市場に広める先駆けとなった「カリフラ」、通年販売を開始し大きな話題となった「雪見だいふく」。

国際部門は、日本発売50周年でロングセラーの「ポンパドール・ハーブティー」、日本発の新スイーツとして「モチクリームアイス」が認知を高めている。

環境・CSR部門では、地元の特産品を使ってメーカーと開発する活動を通し、食に関わる人材を育成する「商業高校フードグランプリ」、効率的で持続可能な物流網の構築を目指し、異業種との協働などの取り組みを進めているキユーピー。信頼関係を築き、魅力ある食材を全国化する「美しい国から」プロジェクト第2弾に取り組んだシュガーレディ本社が選ばれた。

地方発では、50年の古木から収穫した実生のユズの商品化に成功した鶴屋の「実生のゆず」。

特別賞は、今年100周年となり、いまだ成長を続けるアサヒ飲料の「カルピス」ブランドと、森永製菓の「森永ココア」が受賞した。 

【審査委員長あいさつ 食品産業センター理事長・村上秀德氏】
食品産業センター理事長・村上秀德氏

食品産業センター理事長・村上秀德氏

 
〈絶え間ない努力が食品産業を下支え〉
受賞された各社には心からお喜び申し上げます。
 
9月11日に行われた第1回審査会で事務局からノミネートされた商品・テーマごとに説明を受け、各審査委員から指摘のあった意見を踏まえた上で、10月11日の第2回審査会では、事務局から意見に対する調査回答をいただいて、厳正な審査を経て、受賞商品・テーマを決定した。
 
審査でいつも感じることは、商品・技術部門や資材・機器・システム部門、マーケティング部門においては、様々な高い技術、他の商品との差別化、あるいは社会的な省力化ニーズへの対応など、いずれも素晴らしいものであり、絶え間ない努力が、日本の食品産業を下支えしていると実感する。
 
環境・CSR部門では、地域の食を支える人材の育成や、トラックの運転手不足など、今日の物流問題は非常に深刻だが、これらに対して一つの解決策を示されたという意味で感銘を受けた。
 
国際部門では、日本の食品市場は人口減少の時代に入り、絶対的な規模は小さくならざるを得ないが、そうした中でも成長し、収益を維持するためには海外への展開が欠かせない。高い品質と日本独特の商品という切り口による国際市場への展開は素晴らしいものと感じた。
 
地方部門では、地域に根差した食品企業が、その特色を生かした商品展開を行っていることは心強く思う。さらに、特別賞で100年という長い歴史を持つ商品を表彰することは、日本の食品産業が新しい伝統を今後築いていく上で有意義なことだ。
 
いずれにしても、このような優れた商品・テーマに毎回出会えることは、非常に光栄なことと思う。
改めて、受賞された各社様にお祝いを述べさせていただきます。
 
〈食品産業新聞 2019年12月2日付より〉