牛丼などFFは好調-外食企業の16年3月期中間決算

〇原材料高騰、人手不足が足かせ

外食企業の今年度上期決算が出揃った。増収増益企業が前年同期より減少しており、円安による原材料価格の上昇や人手不足を要因とする人件費の上昇、同業種に加え、他業種との顧客獲得競争の激化など一層厳しい経営環境となった。業態別では、牛丼チェーンやハンバーガー、うどんなどのファーストフードの既存店売上高が軒並み好調に推移した一方、気温低下による客数の低迷、各地での集中豪雨や台風の到来により、その他の業態では前年割れが目立った。

本紙は上場外食企業61社の2016年3月期第2四半期決算(2月期第2四半期決算含む)をまとめた。外食以外を主力に展開する企業もあるが、連結ベースで単純に比較すると、増収は61社中42社(前年同期63社中47社)だった。

営業利益は増益24社、減益22社、赤字10社(同増益30社、減益23社、赤字9社)となり、前年同期より赤字企業が1社増えている。

トップのゼンショーホールディングスは、主力の牛丼店「すき家」の客足が戻り、増収大幅増益を達成。牛肉価格をはじめとする原材料価格の上昇影響を受けたものの、「すき家」の深夜営業の再開が好業績を導いた。吉野家ホールディングス、松屋フーズがそれぞれ運営する牛丼チェーン「吉野家」「松屋」も麦とろ牛皿御膳などのフェアメニューが好調で既存店売上高は、前年を超えた。

また前期(15年3月期上期決算発表当時)の7位から2位に売上高が大きくランクアップしたコロワイドは、カッパ・クリエイトの期首からの連結などにより売上高が61・2%増となった。同社及び連結子会社の販売促進引当金の見積方法を変更した影響や売上高増加に伴う販管費率の改善もあり営業利益も24・7%増、純損失も約4億円減少した。ただし、夏場の天候不順を要因に、全業態の既存店売上高はマイナスで着地。10月に入ってからはプラスに転じており、下期は好調な焼肉やステーキなどのレストラン業態、都市部を中心にインバウンド需要が数字化し始めた居酒屋業態に期待をかける。

天候不順により夏場の客足に影響が現れたもののファーストフード業態は軒並み好調だった。増収大幅増益となったモスフードサービスの「モスバーガー」既存店売上高は、6・5%増となった。中国チキン問題以降、落ち込みが続く同業他社の影響がプラスに働いた。同じくファーストフードの日本KFCホールディングスが運営する「ケンタッキー」も好調だった。

トリドールが運営する「丸亀製麺」は、テレビCM効果などで既存店売上高が8・1%増と好調だったことに加え、海外事業が初の黒字化を実現、当期利益は計画予想を大きく上回った。

天候不順はカフェ業態に与える影響が大きく、ドトール・日レスホールディングスの既存店はマイナス。コーヒー相場および円安により、粗利率も低下した。

居酒屋では、売り上げトップのワタミが引き続き大幅赤字。ヴィア・ホールディングス、ダイヤモンドダイニングなどの専門居酒屋は好調だった。

その他中堅企業では、和牛しゃぶしゃぶの木曽路が昨夏に発生したメニュー不祥事問題の影響が残り、既存店売上高は2・5%減と引き続き減収となった。定食の大戸屋ホールディングスは、食材価格の高騰から高単価商品を導入したことで客単価は上昇し、既存店売上高・客数ともに前年割れとなった。