外食2月期、増収増益20社中8社、吉野家、ドトール、リンガーハット好調

このほど出揃った外食企業の2017年2月期決算は、増収増益(営業増益)企業が20社中8社だった。円高基調を背景に食材価格の落ち着きが一部企業の利益改善に見られたものの、人手不足を起因とする採用費のアップ、パート・アルバイトの時給引き上げは全社の利益を大きく押し下げた。一方、好調だったのは吉野家ホールディングス(以下、HD)、ドトール・日レスHD、リンガーハットなど。新店増加と既存店の堅調さが好業績に結びついた。

トップの吉野家ホールディングスは、うどんの「はなまる」、持ち帰り寿司の「京樽」の出店増に加え、主力の「吉野家」が堅調だったことで、増収増益で着地した。「吉野家」は4月に「豚丼」を復活販売、5月には夕方の時間帯にアルコールとつまみメニューを提供する「吉呑み」店舗を拡大したことなどが奏功、牛肉の仕入れ価格低減効果あり増収大幅増益となった。但し、3年目の投入となった冬場の「牛すき鍋膳」が地域特性を生かした「ご当地鍋」を同時に発売するも苦戦したことで、トータルの既存店売上高は前年並みだった。17年度の商品施策では、「ホームラインよりもヒット量産を狙う」(河村泰貴吉野家ホールディングス社長)とし、期間限定商品の販売サイクルを早めることで、客数増と既存店の底上げに繋げていという。

続くプレナスは、定食の「やよい軒」が堅調も持ち帰り弁当の「ほっともっと」の既存店が前年を割れ。同業態の不採算店舗を91店閉鎖した影響で減収となった。

一方、ドトール・日レスホールディングスは増収、過去最高益(純利益)を達成した。既存店の堅調に加え、利益率の高い「星乃珈琲店」の出店拡大が引き続き寄与。コーヒー卸において提案営業の強化により、コンビニやスーパー向けのドリップ・コーヒー原料の売り上げが拡大したことも収益を押し上げた。

6月に新規上場を果たした同じく喫茶業態が主体のコメダホールディングスは、純増で64店舗を出店。新規出店効果が、収益の拡大に繋がった。

リンガーハットも増収増益となった。ちゃんぽんの「リンガーハット」が国産野菜の取り組みが周知され既存店が2・4%増好調に推移、とんかつの「濱かつ」も熊本地震の影響もあったが前年並みで着地した。17年度は「リンガーハット」で好調なショッピングセンターのフードコートへの出店を強化(計画は41店舗)、競合他社がひしめく「濱かつ」は、1000円以下の専用商品を開発し、テイクアウト需要を掴んでいく。

一方、和食・しゃぶしゃぶの「かごの屋」などを運営するKRフードサービスのグループ化により増収となったクリエイト・レストラン・ホールディングスは、グループのシナジー効果を発揮し来期は増収増益を目指す。新店、既存店ともに好調に推移し売上高、営業利益、経常利益で過去最高となったダイヤモンドダイニングは、17年6月にハワイアン・カフェダイニングなどを展開するゼットンの連結子会社化を予定。両社のビジネスノウハウやリソースを共有することで、さらなる競争力強化を目指すという。

2月に新規上場を果たしたユナイテッド・コレクティブは、都心を中心に鳥料理専門店の「てけてけ」など、合計55店舗の飲食チェーンを展開している。

7月期、8月期の中間決算を見ると、サイゼリアについては、国内既存店が2・9%増と好調だったものの中国の税制変更により海外売上高が11・8%減となりトータル売上高は前年比未達となった。但し、円高や原材料価格の改善により営業利益は前年より大きく増加。

大庄は、販管費のコスト削減効果で利益はプラスも既存店の減少と店舗閉鎖により売上高は前年割れとなった。同じく居酒屋の鳥貴族は、既存店が堅調も国産野菜の高騰に加え、急増した客数に対応するため人件費が増加し、営業利益は前年を下回った。