コロナ禍の外食飲食店をバックアップ 総合厨房機器・タニコー、業界初のサブスク修理手配代行サービス開始

タニコー 谷口秀一社長
総合厨房機器メーカー、タニコーがコロナ禍で苦しむ外食飲食店に向けて、これまでにないメンテナンスサービスを2月から開始した。その名も、「つながる修理 サポート(K)」。従来、一般飲食店では機器が故障するたびにメーカーへ修理を依頼し、時間も手間もかかっていたが、このサービスを申し込めば、電話一本で解決。安心して依頼できる修理手配代行サービスだ。

2月に東京ビッグサイトで開催されたHCJ2022会場で、同社の谷口秀一社長にサービスの特徴や経緯について話を聞いた。

「つながる修理 サポート(K)」は突然の故障も安心して修理を依頼できる月額2,728円(税込み)の定額制サービス。さらに、付帯サービスとして、スチコンやフライヤー、ガス/IHコンロ、冷凍冷蔵庫などの業務用厨房機器14品目が自然故障(電気的・機械的事故)した場合は、1回の修理につき最大50万円までの無償修理特典が受けられる。対象店舗は一般飲食店に限り、幼稚園、保育園、社員食堂、病院など給食施設は除く。厨房機器のサブスクリプションサービスは業界初の試みである。

谷口社長は「定額と幅広いカバーで飲食店の皆様の不安を解消し、事業成功を応援したい」と力強く語る。

飲食店では、飲食提供に欠かせない厨房機器が突然の故障で高額な修理が発生すると事業生命に関わる。予期しない機器の故障に不安を抱える飲食店は多く、あるチェーン店ではコロナ禍でお店を閉めている期間が長いと、機器が故障しても本部の指令でそのまま放置してしまうところもあるそうだ。

「お店を閉じている間はいいですが、感染者数が落ち着いて、いざお店をオープンしようとしたときに困るのは現場の方々です。突然の修理代が負担になっているのであれば、そのお悩みを払拭するサービスが必要です。『つながる修理 サポート(K)』は定額だから、予算化すれば事前に備えることができます。厨房のほとんどの製品に対応しており、サービスが発生しても1回50万円を超える修理はそうありません」。

特筆すべきは、これまでに同社製品を利用していなくても、国内に法人があり修理インフラが整ったメーカーの機器であれば、他社商品を使用している一般飲食店でも加入することができる点だ。今ある厨房機器が複数のメーカーのものでも一括して同社にサポートを依頼できるので、故障にかかる業務負担を大幅に軽減することができる。また、コロナ禍で都市部の一等地に空き物件が生まれ新たに出店する際、以前のオーナーの厨房機器を使う場合があり機器の詳しい仕様が分からなくても、修理を依頼することが容易だ。

同サービス開始の発案者はメンテナンス担当の今井昭里さん。今井さんはコロナ禍で機器ユーザーを訪問したときに、故障した機器を修理に出したくても出せない現場を数多く見て、飲食店の機器メンテナンスの問題をどうしても解消したいと思ったという。「一般家庭の家電には数年保障などのサービスがある。その厨房機器版があれば、外食店の皆さんの安心につながる。コロナ禍で飲食店の皆さんが大変な中、お客様を守りたかった」と述懐する。昨年9月に部内で話し合い、11月に谷口社長に直談判。提案が実り、今年2月に新サービスとして発表された。「正直、展開は思いのほか早かった。でも、やっとここまできたという高まる思いもある」と胸中を語る。同社では、来年までに5万件の契約を目標に掲げる。「まずはそれを目指し、メンバーと協力しながら会社一丸になって取り組みたい」と意気込みを語った。

谷口社長は「コロナ禍で外食が低迷する中、まずは業界が活性化することが大事。タニコーの製品でなくても、どの機器を使っていても、お店にお客様がいっぱいになれば、いずれは我々設備メーカーの出番がやってくるので、まずはマーケットを活性化させるところから始めたい。コロナ禍もあと、もうひと踏ん張り。外食産業の皆様と共にこの苦難を乗り越えていきたい」と外食業界を支える強い決意を語った。