家庭用冷凍食品の春季新商品が市場に出回り始めた。昨年は空前の炒飯旋風が巻き起こり、冷凍米飯市場が大幅に拡大した。

この勢いを引き継ぐ次のカテゴリーを狙って当季新商品には炒飯と同様、既存の中核分野で市場規模の底上げを目指す動きが見られた。この成否が今年上半期の市場の盛り上がりを占うことは間違いない。他方で新ジャンルへの挑戦も当季新商品の注目点といえる。新種の商品では単なるプロダクトアウトではなく、消費者に対していかにその商品価値を伝えることができるかが大きな課題だ。一部メーカーはかつてないプロモーションによって、この課題に答えようとしている。

冷凍米飯類の販売金額をPOsデータ(KSP-SP社)で見ると、2016年の冷凍米飯の販売金額は17%増(継続店調査分)と飛躍した。足元の2月も9%増と伸長が続いている。

冷凍炒飯は15~16年にかけて、ニチレイフーズ、味の素冷凍食品、マルハニチロの大手3社がそれぞれ革新的な技術を導入して品位を向上させ、同時にテレビCMなど積極的なプロモーションを行ったことで想像以上に成長した。

次の炒飯は何か。メーカー各社は自社の得意分野からアプローチしていくことになるが、冷食最大手のニチレイフーズが狙いを定めたのは、から揚げだった。

同社は食卓品質を追求し、新たに〝じゅわ旨っ。製法〟を導入した「特から」を発売した。大袋唐揚げの新標準を目指し、粒の大きさ、内容量も一から見直した。同社竹永雅彦執行役員はCM発表会で「新しいから揚げブームを作る」と意気込みを語っている。

日清フーズは冷凍パスタの〝真スタンダードブランド〟を目指して「THE PAsTA」を立ち上げた。実勢価格160~170円台という標準価格帯のてこ入れとなる。各社のブランドが乱立して消費者に分かりにくくなっている冷凍パスタ売場の状況を、中核ブランドを据えることで変えたいとしている。

一方で味の素冷凍食品はおにぎりの具という新ジャンルを提案した。カレーやビビンバ、ギョーザ味の半球状の具材を温かいご飯で握ると、栄養バランスの良いおにぎりが出来上がる。

連動させるプロモーションが肝だ。同社のパンフレットにはサッカーのクラブ活動でおにぎりを頬張る少年たちの姿がある。おにぎり丸ではスポーツキッズとその親をターゲットとして、スポーツイベントなどを通じた交流にも取り組むという。CM、店頭、直接交流--と立体的なPRを構想する。

このような取り組みで消費者との距離を縮めることは、冷食市場全体のさらなる成長への足掛かりにもなるはずだ。

冷食の可能性を感じさせる新提案としては、即食・簡便が全盛の中にあって、本格品質を追求して敢えてひと手間かかる商品の提案が見られた。

日本ハムデリニューズは野菜を加えて作る中華惣菜やソースを別添したハンバーグを、日本製粉はソースと麺を別包装した上質パスタを、それぞれ新提案している。