テーブルマーク魚沼水の郷第2工場、最新鋭の冷凍うどん専用工場 サイロから倉庫搬入、資材供給に至るまで自動化

テーブルマーク「魚沼水の郷工場 第二工場」の外装包装機
テーブルマークの「魚沼水の郷工場 第二工場」が4月12日に稼働した。約87億円を投資し、魚沼水の郷工場(新潟県魚沼市)の新工場棟として建設した、最新鋭の冷凍うどん専用工場となる。原料サイロから倉庫搬入に至るまで、全製造工程が自動化されており、これまで人手を割いてきた副原料、資材の供給に至るまで自動化設備を導入している。生産性向上、省人化に加え、自動化に伴うデータ集積により品質の向上と安定化も実現する。

同社は27日、メディア向け見学会を開いた。魚沼水の郷工場は「水の郷工業団地」内に位置する。既存工場は冷凍うどんとパックごはんの大量生産型基幹工場であり、同社17年度の冷凍うどん生産量5億食のうち1.2億食すなわち24%が、パックごはん2.8億食のうち0.9億食すなわち32.1%が、それぞれ水の郷で生産されている。第二工場の稼働により冷凍うどんは水の郷全体で今年度(稼働期間4~12月)2億食に、次年度は2.5億食以上になる見込みだ。

テーブルマーク 川越康史常務執行役員製造本部長

テーブルマーク 川越康史常務執行役員製造本部長

川越康史常務執行役員製造本部長は第二工場について「さまざまなチャレンジを折り込んでおりスムーズにいかないところもあったが、ようやく安定的に製造できるようになり、世の中に発表できることをうれしく思う。新しいチャレンジを見てほしい」と胸を張った。自動化のモデル工場として「今後、他の工場にもできるだけ展開することを目指す」考えだ。

水の郷第二工場は自動化・省人化された高速ラインによってコスト競争力を追求した工場だ。2階通路と製品倉庫で既存棟と接続するかたちとなっている。家庭用「さぬきうどんシリーズ」のほか、夏場の需要が高い細麺の「稲庭風うどんシリーズ」、業務用の冷凍うどん――など同社の看板商品である冷凍素材麺を製造する。

3ライン設置し、各ライン毎時1万2,000食、合計3万6,000食の製造能力を備える。同社の冷凍麺製造工場では最大。同社工場の1ラインあたりのうどん生産能力は、09年までが毎時6,000食、10年に新設した水の郷工場(第一工場)が7,000食だった。

大幅な能力向上の要因は、ハード面において既存工場で蓄積したノウハウを活用した最新鋭設備を導入したこと、自動立体倉庫や原材料供給設備など自動化設備を新規に導入したこと――、ソフト面において「製造実行システム」により全生産設備の稼働状況を監視し、自動制御することで、常に最適な状態での生産を実現したこと、だという。

特に注目されるのは製造実行システム(MES=Manufacturing Execution System)だ。これまで製造機器を現場のパネル操作で作動させていた部分をすべて、中央ホストコンピュータを通じて制御する。ホストPCに製品仕様と製造条件を入力すれば、自動的に各設備の運転状況を把握して原材料を自動供給し、さらにリアルタイム監視を通じて、設備間の連動制御を行い常にライン全体として最適条件での生産を可能にしている。

自動化は製造工程だけではない。原料小麦粉の補充には自動解袋機を導入。資材関係では包装フィルムは中央制御で自動倉庫から選択した資材を、無人搬送機が運ぶ。段ボールは納品状態のまま、ケーサー(製函)ラインに運ばれ全自動で箱に組み立てられる。箱詰めされた製品は自動でパレットに積み上げられる。このパレタイズ室には第一工場の製品も送り込まれ、自動倉庫に保管される。

省人化によって、第一工場では1ラインにつき5人配置していたが、第二工場では4人となった。

同社は16年末に生産体制再編を発表。合計で約350億円を投資する計画だ。まずは既存の各工場に分散している、冷凍うどんで生産性の高い新工場(今回の水の郷第二工場)を建設し、これを起点に既存工場の移設、更新を順次進める。同時に脱フロン化、老朽化・耐震対策も行い2021年をめどに国内生産体制の構築を完了する計画だ。

〈冷食日報 2018年6月29日付より〉

【関連記事】
・テーブルマーク新工場棟「魚沼水の郷工場 第二工場」本格稼働
・テーブルマーク、今年は「冷凍うどんの夏」に CMに松山ケンイチさん起用
・テーブルマーク、家庭用はトレー入り具付き麺、食卓惣菜に新シリーズ
・ジャパン・フード・セレクション最高賞にテーブルマーク「丹念仕込み本場さぬきうどん」