丸水長野県水、市場で総合展示会 業務用末端ユーザーも集客

丸水長野県水は12日、同社長野市場(長野市)で総合展示会を開いた。普段の市場のレイアウトを全面的に展示会仕様に変えて、県内の小売・量販店、二次卸、産業給食など業務用エンドユーザーを招いた。人手不足に対応した、スライス済み冷凍畜肉パック商品や冷凍食品のメニューキット化提案を展開した。

昨年4月マルイチ産商傘下に入って、市場での展示会は2年連続となる。調達・保管・仕分け・配送――という市場の機能を活用し、中核事業である水産、畜産、冷凍食品に加え、子会社の業務用卸マルゼンフーズとケータリング・惣菜事業のアスコットを含めたフルラインの商品提案機能をアピールする狙いだ。

展示会テーマは「『食べる喜び』を提供します~食からつながる出会い~」。年末商戦・業務用マーケットの拡大戦略・SM惣菜・新規顧客戦略――の4つを訴求ポイントに掲げる。出展企業は120社、来場者は県内全域から300社712人を見込む。展示品数は約2,000アイテム。来場者数は昨年の2倍近くに増えた。今回は小売店のほか業務用エンドユーザーを広く集客した。開催時期は年末商戦に備えて、前回よりも2週間前倒しした。

オリジナル提案コーナーでは水産、畜産、冷食、アスコット、マルゼンフーズ――の5事業部門がそれぞれ小間を構えた。

そのうち水産では人気商材のタコ・イカ・エビを使った調理品、時短・簡便性から刺身盛り合わせキット商材などを提案。畜産では肉の冷凍スライスパックを全面的に提案した。冷凍食品は「手間なく・早く・簡単に・ロスが出ない」商品を中心に提案した。事業所給食、産業給食、老健施設事業者に向けて、自然解凍をはじめ様々な調理方法に対応した、味の素冷凍食品「タレづけミニチキンカツ」を、旅館・ホテルなどのバイキング向けにテーブルマークの焼成冷凍パンや味の素冷凍食品のカット済みケーキを紹介した。県水オリジナルキット商品として「えび唐揚げキット(黒胡椒風)」を提案。メキシコ産養殖エビ1kg×2箱と唐揚げ粉400gをセットにした。日東ベストのローストポークなどを組み合わせたオードブルキットなども提案した。冷凍食品事業部ではアスコットと共同でキット商品開発を進める方針だ。

アスコットの小間でもスーパー惣菜向けに人手不足や業務効率化に対応したキット商品を提案。衣付きのタラやサバ切身と数種類のソースを組み合わせた商品を提案した。

〈5事業の連携強化 冷凍物流機能を拡充へ=吉田宏社長〉
吉田宏社長は同日、本紙取材に応じて次のように述べた。

丸水長野県水 吉田宏社長

丸水長野県水

吉田社長=当社グループは5事業部門によるフルライン機能をもつ。保管・調達・配送を含めた機能を業務用のエンドユーザーを含めて幅広く知ってもらうために、市場で展示会を開催した。長野県の人口も207万人と210万人を割り込むなか、機能を集約する必要があった。水産物とデイリーだけだった市場は、冷凍食品と畜肉を合わせた物流集約基地に変えた。業務用卸のマルゼンフーズも本社事務所に移転させた。物流を起点に集約することでお客様にもメリットになるはずだ。組織体制も見直して事業部門間での情報共有や業務連携も進んできている。

既存事業について、水産事業はアニサキス問題や不漁の逆風で厳しい事業環境にあるが、事業連携効果もあり、売上げは苦戦しているものの収益は計画を上回っている。冷食と畜産は順調だ。冷食は良い形で伸びている(4~7月で家庭用冷食は前年比3~4%増)。保管拠点は主力の3,000t冷蔵庫があり、冷凍車両は庸車を含め70台を運行させている。畜肉を含めて今後はチルドから冷凍へ切り替わっていくのではないか。冷凍庫は外部を含め4,000tに、車両は80~90台に増やしていきたい。当社は市場を5つ保有しており、これらも利用しながら冷凍物流を構築していきたい。畜肉のプロセスセンター機能を向上させることも課題だ。外国人技能実習生の採用も2年目となるが、意識的に増やしている。

〈冷食日報 2018年9月14日付より〉