ケイエス冷凍食品、技術の見える化・専門家育成に取り組み、「ミートボールの地位高める」/斎田直樹社長

ケイエス冷凍食品・斎田直樹社長
ケイエス冷凍食品は8日、都内で2018年度(18年1~12月期)決算報告会を開いた。その中で斎田直樹社長は冷凍ミートボールシェアNo.1メーカーとして、ミートボールのプレゼンスの向上を目指す考えを強調した。付加価値の高い商品を開発するために、強みであるミンチ加工技術の見える化に向けた取り組みを始めたところだ。斎田社長は目指す姿として「従業員全体が自ら考え行動する集団となり、しなやかで強い組織づくりを実現する。これを意識して限界利益の創出、収益基盤の再構築に取り組んでいきたい」と述べた上で19年度事業方針を説明した。

「冷凍ミートボールシェアNo.1メーカーとして強いものをより強くの方針を継続して質の高いトップライン成長を通じたシェア拡大を目指す」。強みであるミンチ加工技術を活用し、付加価値の高い商品づくりと提案を通じて、ミートボールプレゼンス向上を目指すと力を込めた。開発面では保有するミンチ加工技術・ノウハウを分解して、見える化を進めている。やわらかさやタレの製造技術など細かく数値化することで、あらゆる客のニーズにこたえられる基盤を作る。1月から担当部署を設置して取り組みを始めている。

営業面ではミートボールスペシャリストを育てる。営業担当を「MBMA(ミートボールマーケティングアドバイザー)」として数名選出し、大野潤常務理事が中心になって月1~2回の勉強会を開いている。「世界で広く食されているミートボールが日本では低い地位にある。地位向上に向けて、ケイエスのミートボールの価値、優位性、使い方など、ミートボールの歴史を踏まえたうえで、お客様ニーズを引き出し、先取りして提案型営業を目指したい」とした。現在、業務用から進めている。これを横展開して営業力強化につなげていきたい考えだ。

〈前年度は減収も、自社製品は順調な伸び 時間当たり生産量増加に取り組み〉
ケイエス冷凍食品の18年度売上高は前期比3%減で着地した。1~3月に計画比80%台と苦戦したことが響き、家庭用・業務用とも前年を若干割り込む形となった。利益について限界利益は増加したものの人件費など固定費の上昇を吸収できず、計画を下回った。

売上高の内訳は自社工場製品(泉佐野製品)が家庭用で6%増、業務用で3%増と順調な伸びを見せたのに対して、協力工場からの仕入れ品は家庭用17%減、業務用12%減と苦戦。泉佐野品とそれ以外の売上げ構成比は58:42と前年度よりも泉佐野製品が4ポイント拡大、家庭用と業務用の構成比は52:48となった。

家庭用は主力の「鶏つくね串」を中心に売上げを伸ばした一方、弁当品を中心とした仕入れ品が想定以上に苦戦した。ただし、仕入れ品の中でも「チーズちくわ」は昨秋に縦型包装にリニューアル後25%増に、「おべんとうごまだんご」も秋から配荷を伸ばして10~12月は58%増と伸長した。

「鶏つくね串」は今秋「2度焼き製法」を導入して大幅リニューアルを行った。当年度売上げは4%増。「肉だんご」は発売35周年を機に一新して、食卓向けに軸足を移したが、既存の弁当ユーザーが離れて苦戦。「食卓ニーズも確認した」ことから、今春は弁当向け新商品を追加して、食卓・弁当の両面で巻き返しを図る。

業務用では肉だんごのたれ付きが8%増、たれ無しが2%増とともに好調。「想定外の販路も生まれ、潜在需要が存在している」と今後の成長を見込む。業務用仕入れ品では豆腐製品が26%減と落ち込んだ。大口需要家のメニューカットが主因。

業務用では昨年9月に出荷価格の改定を実施した。原材料費や物流費の上昇を理由に平均3%値上げしている。

泉佐野工場では生産性改善に、外部コンサルタントを入れて取り組んだ。作業環境の改善を図り、無駄をなくすことで、5系列あるうちの1ラインでは時間当たり生産量を2%強伸ばした。これを他のラインにも横展開する。

生産能力の増強のため1ラインで2直から3直にして稼働時間を伸ばした。11月後半から12月にかけて行い、生産数量は日産10%強増加した。これを繁忙期の休日出勤の削減や有給休暇の取得につなげる。

〈冷食日報 2019年2月13日付〉