〈日清食品ホールディングス執行役員 兼 日清食品冷凍代表取締役社長・吉田広之氏インタビュー〉
日清食品冷凍では、昨年から取り組む“単品力強化”が奏功し、「冷凍 日清中華  汁なし担々麺 大盛り」など、単品で10憶円規模を売り上げる中核商品が育ちつつある。今後は第2の柱となる商品の育成も進めて冷凍麺の各カテゴリーで盤石な地位の構築を目指すという。今年4月から社長に就任した吉田広之氏に、今期の状況や今後の展開を聞いた。

――社長に就任して、日本の冷凍食品をどう感じたか

海外での勤務経験が長く、トータル約22年間計5カ国に駐在していたが、これまでは即席麺のビジネスがメインで、冷凍食品のビジネスは今回初めて取り組む。駐在したアメリカでは冷凍食品の市場が大きく、多くの商品が販売されている。時折食べていたが、あまり口に合うものはなかった。日本に戻ってから日本の冷凍食品を食べ、その美味しさと質の高さに驚いている。競合他社も非常に良い商品を出しているので、クオリティーでは負けられない。
日清食品冷凍 吉田広之社長

日清食品冷凍 吉田広之社長

――今期の販売状況は
 
4~6月の販売は順調に推移し、7月はさらに順調で前年を上まわった。コンビニを含む流通得意先様が冷凍食品を重要な位置づけの取り組みの1つに挙げ積極的に力を入れており、単身者や若者など新しい客層にも広がっている。市販冷凍麺は市場の中でも良い伸長率だ。
 
――内容は
 
単品力の強化として特定商品の提案に昨年から力を注いでいる。これによって「冷凍 日清中華  汁なし担々麺 大盛り」「冷凍 日清スパ王プレミアム 海老のトマトクリーム」「冷凍 日清もちっと生パスタ 牛挽肉とまいたけのクリーミーボロネーゼ」などは単品で10億円規模の売上になっており、各ブランドの幹になるような商品に成長している。今期「日清中華 上海焼そば 大盛り」も順調に推移している。
 
――販売戦略は

 
幹になる商品が育ってきたので、周辺商品を広げブランドを強化していく。当然幹となる商品は継続して強化していくが、そこに関連した商品を提案して第二の柱を育成し、ブランド全体をより強固にしたい。
 
この9月、順調に推移する「冷凍 日清具多 辣椒担々麺」をリニューアルする。それと一緒に新商品「冷凍 日清具多 白胡麻担々麺」を投入する。辛いものは好きでも、辣椒担々麺よりもまろやかな辛味を好む方に最適な商品だ。両方の商品を訴求できればと思う。好調な「冷凍 日清もちっと生パスタ」シリーズでは「きのこクリーム」を追加する。また、特製の紙プレート付きの「冷凍 日清オーベルジュ・パスタ」シリーズ2品を刷新したほか、「冷凍 日清のどん兵衛」シリーズも3品追加する。

「冷凍 日清具多 辣椒担々麺」「冷凍 日清具多 白胡麻担々麺」

「冷凍 日清具多 辣椒担々麺」「冷凍 日清具多 白胡麻担々麺」

――10月の増税の影響は
 
食品は軽減税率の対象にはなっているが、日用品などの増税で財布のひもが固くなる可能性はある。しかし、増税後は家庭での食の機会が増え冷食市場は伸びるであろう。この機会を捉えるべく、魅力ある商品を提案することが重要だ。9月発売の商品は支持されている商品の改良も行っている。流通得意先様とタッグを組んでお客さまに魅力的な商品を伝えていきたい。
 
――自社の強みと、今の課題は
 
グループの強みは、会社全体で麺のさまざまなノウハウを蓄積していることだ。日清食品冷凍の冷凍麺は、ターゲット消費者の特性に合わせて徹底した研究を基に開発されている。ここは競合に負けない強みと感じている。
 
喫緊の課題としては、生産キャパシティの問題だ。汁なしのラーメン類などが好調だが、生産のキャパシティが十分でないため、得意先様にも積極的な提案をしづらくなっている。すでに手は打っており、今期中には増産の段取りを整え、来期には得意先様へより魅力的な提案を行っていきたい。
 
――将来的な取り組みは
 
10兆円と言われる中食市場から売り上げを取るべく、将来的には動く必要がある。中食から売り上げを取れるような提案も並行して取り組むが、本格的に注力するのは先の話になる。今は土台の冷凍麺のビジネスを強化することが重要だ。まずは冷凍麺各カテゴリーで確固たる地位を築くことを目標にやっていきたい。
 
【吉田広之氏 プロフィル】
1963年8月24日生まれ、55歳。1986年4月に日清食品に入社。タイ日清社長やメキシコ日清社長、米州総代表を務め、2015年9月に米州総代表兼日清ブラジル会長に就く。4月1日から日清食品ホールディングス執行役員兼日清食品冷凍代表取締役社長に就任。
 
〈冷食日報 2019年8月20日付〉