5月19日に日本冷凍食品協会の新会長に就任した大櫛顕也会長(ニチレイ社長)は、記者クラブの質問に書面で回答した。回答(抜粋)は次の通り。

――冷凍食品業界の直近の動向は

感染拡大に伴い内食化や中食化が進み、家庭向けの需要が急増している。一方、政府の緊急事態宣言後の外出自粛で外食利用者の減少や学校給食の休止で業務用需要が大きく落ち込んでいる。

家庭用の中では炒飯などの米飯類、うどん・スパゲティなどの麺類、冷凍野菜などの販売が急伸している。このため、これらの売れ筋商品はフル生産の中、供給が途切れないよう出荷調整を行うなど流通を含めて各社が対応している。

業務用は需要の急激な落ち込みによる販売不振と過剰な在庫を抱えている。

生産に必要な原材料は当面確保できる見通しと聞いている。海外からの調達も中国など海外工場では一時的に従業員の確保が難しかったため予定した生産を確保できない時期があった。現在はおおむね回復しており、日本への供給は問題ないと聞く。

いずれにしても、今後、感染終息の時期、国民の意識変化などで、冷凍食品の需給が大きな影響を受けることになるが、食の量自体は減っていくことはないので、全体としての需要は依然として高いものと思う。

――協会としてのサポート、情報発信など

日本での感染拡大はまだ予断を許さない状況とみられる。冷凍食品業界でも変化が生じており、協会としては、行政のさまざまな支援情報などを速やかに提供するとともに、認定制度の弾力的運用を図るなどして会員を支援している。引き続きこのような対応を行っていきたい。

食料品は生活必需品であることから、国民へ安定的に供給することが食品企業の責務だと考えている。協会としても会員にその周知を図るとともに、引き続き冷凍食品の最新の供給情報などを行政に報告し、品薄などによる小売り段階での混乱を防ぎたいと考えている。

――東京オリンピック・パラリンピックの延期の影響は

新型コロナウイルス感染拡大と相まって、今年のインバウンド消費は著しく減少し、外食などの需要は大幅に減少する恐れがある。業務用需要を中心に大きな影響があるのでは。

――中長期的な課題は

社会構造の変化は今後も冷凍食品の需要拡大につながる要因ではあるが、次のような課題が考えられる。

まず、少子高齢化が続き食料品需要全体が伸び悩む中で、社会構造やライフスタイルの変化に適応した商品を供給し続けなければならないことだ。他の食品分野では創り出せない商品の魅力が常に求められる。

また、冷凍食品業界はこれまで多種多様な企業が切磋琢磨して市場を拡大してきた。かつてのような高い成長を期待できない中で、各企業の特性を生かしつつ産業全体の効率が高まるよう構造転換していくことが必要と考えている。企業としての成長や発展を考えれば、国内だけでなく各企業の資源を活用しながら、海外市場展開も一つの道筋では。

――協会活動の方向性や課題は

広報、品質・具術、調査、会員業務など幅広い事業を行っており、今後もこの事業の枠組みで拡充を図るべきと考える。

広報事業は、今後も消費者や実需者に冷凍食品の優れた特性をいかに浸透させるかが課題である。需要拡大が見込まれるシニア層に加え、多様化、細分化された消費者層へのアプローチも必要と考える。その他、「冷凍食品の日」を中心としたPR活動や業務用に向けた事業の一層の拡充を図りたい。

品質・技術事業は50年にわたる認証制度で中小の冷凍食品工場においても品質管理レベルは向上してきた。今後は国際的な認証制度の動きをにらみつつ現行制度の課題点を洗い直し、制度をより高いレベルに引き上げていくことを検討したい。

このほか、脱フロンに向けた環境対策なども引き続き充実させていきたい。

――冷凍食品100周年の取り組みは

広報事業の柱として展開し、生活者に冷凍食品の存在を再認識してもらうチャンスにしたい。主な事業案は、〈1〉9月に北海道森町と共催で記念イベントを開催し、記念碑設置や式典、講演会、祝賀会を開催。併せて、全国紙への広告掲載や道内の複数メディアを活用したPRを実施〈2〉10月7〜9日、東京ビッグサイト青海展示棟で「冷食JAPAN2020」を開催。冷凍食品及び製造機器・設備などの専門展示会とセミナーを開催〈3〉「冷凍食品100周年」ロゴを協会や会員などの各種PR活動で活用し、業界全体で盛り上げる。

〈冷食日報2020年5月22日〉