〈コロナ禍機に業務効率化、フロー・システム統合進める〉
マルハニチロは7月29日、東京・中央区豊海町の新東京開発センターで記者会見を開き、今年4月に就任した池見賢社長、水産・畜産部門統括の粟山修取締役専務執行役員、食品部門統轄の半澤貞彦取締役専務執行役員が専門紙記者団の取材に応じた。

コロナ禍の中での組織運営について池見社長は「社長就任に際し、会社組織は不確実性をどう乗り越えるかが重要と社員皆にぶつけたが、コロナ禍の影響は不確実性どころではない。営業・事業に制約があるが、旧態依然のしがらみを打破するチャンスだと訴えながら、業務効率化、働き方改革含め、強い組織作りを提案し、乗り切りたい」「現在のマルハニチロは6社統合で作った会社で、統合作業には(前社長の)伊藤滋会長も最も力を注いでいた。私の感覚として、統合はほぼ成功裡に進んだ。ただ、ここ6~7年管理部門にいた中で、仕事のフロー、システム統一でまだまだの部分があり、組織を改善する余地がある。たとえば、8直営工場は旧マルハ系、旧ニチロ系があるが、工場によって給与計算システムが異なったりする。こうしたものを改善するチャンスだ。管理費合計で140~150億円あり、今後こうした残ったものの統合が完成すれば1つのユニットができるくらいの削減効果が出る」など述べた。

また、同社は2018~2021年度の4カ年中期経営計画「Innovation toward 2021」で、10年後にありたい姿として
〈1〉グローバル領域で「マルハニチロ」ブランドの水産品、加工食品を生産・販売する総合食品企業
〈2〉水産・食品の枠組みを超えたバリューチェーンを展開し、収益の拡大化を実現
〈3〉世界No.1の水産会社としての地位を確立
〈4〉冷凍食品・介護食品の国内No.1企業としての地位を確立
〈5〉水産物由来機能性材料のリーディングメーカーとしての地位を確立
――の5項目を掲げている。

今後の成長戦略については「当社の強みの1つは水産・食品の部門を持つことだ。水産業は国内では苦戦気味だが、海外では健康ブームや途上国での良質なタンパク質需要で成長産業と目されている。国内食品は、冷凍食品市場は輸入含め1兆円規模にあるが、ライフスタイルの変化もありまだまだ拡大すると見られる。この水産と食品の別々の動きをどう繋ぐかが課題で、国内で苦戦する水産を食品の1ピースとして扱い、グローバルな総合食品企業として、水産・食品の垣根を超えたバリューチェーンを築く。また、どのような世の中でも健康へのニーズは変わらず、水産・健康の2つの切り口で成長に繋げたい」とした。

一方、現中計では2021年度売上高1兆円・営業利益310億円の数値目標を掲げているが、「コロナ禍の影響で漁業・荷受など苦戦し水産事業が苦戦している。食品事業・物流事業は計画通りかそれ以上に進捗しているものの、コロナ禍の中で2年後に数値目標を達成するのは少し無理がある。時間軸を再考する検討をしたい」という。

コロナ後の市場について「コロナ禍では、巣ごもり消費で米飯・麺類など特需があったが、このままチャーハン、麺ばかりということはありえない。特需は特需として捉えないと危険だ。何が必要か、ニーズをキャッチしながら対応する。その中では、外出が減り運動不足が懸念されることから、健康の切り口が出て来る可能性が高い」と見立てた。

中長期的な生産の方向性については「食品事業は他社に比べまだまだ収益力が低い。直営8工場、関係会社工場が多く、アイテム数も多く、ここに手を付けないと次のステップに行けない。設備投資、労働関係等いろいろやりながらとなり、もう少し時間がかかる」とした。

〈新東京開発センター、感性を刺激する空間からニーズに対応〉
会場となった新・東京開発センターは、加工食品事業の開発機能を集約し、今月より本格稼働を開始した。小梶聡執行役員開発部長は「各事業部門で蓄積した技術や情報を共有化し、新たな食の可能性、価値の創造に挑み、顧客ニーズに応えたい」という。

小梶部長によれば、約340坪のスペースに試作室、機器試作室などに開発に必要な機材を集め、商談室、プレゼンテーションルーム、オフィススペースなどを備える。「感性を刺激して行動を起こす」をコンセプトに、自然界の要素を常に感じる空間で多様なアイデアを誘発し、モチベーションを高め、創造・発信する空間としたという。

〈冷食日報2020年7月31日付〉