ニチレイフーズ業務用、外食の回復遅れ響く、惣菜チキン巻き返しへ/2020年度上期業績

ニチレイフーズ業務用事業部長・滝英明氏
ニチレイフーズの業務用調理品は2020年度上期(4~9月)の売上高が前年比15%減の426億円で着地した。コロナ禍による業務用市場の落ち込みが響き、4~ 5月が前年比80%弱と苦戦。その後、6月以降は9月まで90%弱で推移している。当下期は落ち込みが大きかったチキン加工品の巻き返しを図る。滝英明業務用事業部長に上期の概況と下期の展望を聞いた。

当上期の業績を業態別に見ると、主力の惣菜向けが前年比4~5%減、外食向けが30%減、事業所給食が15%減――などとなった。一時の落ち込みからは回復を見せているが、惣菜向けも前年割れが続いている。

惣菜は量販店の売場でコロナ対策のために、ばら売りができなくなった影響が大きく、コロッケやメンチカツ、主力のチキン製品も伸び悩んだ。

チキンはスーパーの精肉の動きが良いことから、従来の購買が一部、手作りに移行していると見られる。業績が好調な、から揚げ専門店の持ち帰りも市場を拡大しているととらえており、これは「下期以降の当社から揚げ製品へも明るい兆しだ」としている。

春の新商品について、導入は前年並みに進んだ。袋入りクリームコロッケがばら売りの置き換わりもあり、売上げに貢献。たいめいけん茂出木シェフ監修シリーズの弁当向けハンバーグや学校給食向けのハンバーグのリニューアルもあり、ハンバーグは全体としても前年を上回る実績を残した。

新提案となるキット惣菜「Vegedelica(ベジデリカ)」は、春の洋風メニュー以上に、今秋の中華メニューの方が動きは良い。滝事業部長は「(惣菜売り場に野菜の彩りを与えるという)考え方に共感は得ているので、基本は変えずに今後も展開する。和風の要望も強いようだ」としている。

〈惣菜強化、監修シリーズに注力〉
当下期の業務用調理品の売上高は前年比14%減の424億円を計画する。

内食化の傾向が続く見通しから、集客力のあるスーパーのお客様に向けて惣菜の強化に取り組む考えだ。ばら売りができなくなっていることから、袋入り商品や弁当向けの提案、有名店やシェフによる監修シリーズの提案に力を入れていく。

特に監修シリーズは「移動制限下で店舗になかなか訪問できない生活者に気軽に専門店の味を楽しんでいただけるものとして、品揃えをお願いしている」

「たいめいけん茂出木浩司シェフ監修」シリーズはハンバーグなどを展開し好調だ。当上期に苦戦したチキンでは、からあげグランプリの金賞を受賞している専門店とのコラボ商品を展開し、巻き返しを図っている。

コラボしたのは鳥しん(大分)、しげ盛(神戸)、ごっち(愛知)、諭吉のからあげ(愛知)――という専門店。キャンペーンを展開し9~10月の2カ月で、惣菜向け販売は前年を大きく上回った。

〈外食・事業所給食向け情報発信〉
新常態によって市場が大きく変化している、外食と事業所給食に対しては、自社ホームページで市場動向に合わせたメニュー提案や事業者向け情報を発信している。

HP上では6月にテークアウトを始める外食事業者向けのメニュー提案や法規制などの情報提供を実施。8月には「業態別お役立ち情報」のページをサイト内に設置し、外食や事業所給食の事業者向けに市場環境と業態に合わせた提案を行っている。

メニュー提案で掲載した商品は他の商品よりも販売が伸びていることから、一定の効果が認められるとしている。

コロナ禍においても市場が堅調な医療・福祉関連は今期、特販グループを新設して取り組みを進めている。シルバー給食向けは前年を若干上回る見込みだ。

〈冷食日報2020年11月26日付〉