緊急事態宣言、冷凍食品では前回のようなパニックにはならないとの見方

政府は1月7日夕、東京と埼玉、千葉、神奈川の1都3県を対象に新型コロナウイルス特別措置法に基づく緊急事態宣言を再発令する事態となった。

前回の発令時には消費者が買いだめに走り、家庭用冷凍食品も品薄状態に陥った。メーカー各社は前回の経験を生かして、今回の緊急事態宣言に対してどのような態勢で臨んでいるのか、各社に聞き取りを行った。

ある大手メーカーは2020年11月以降の第3波の時点である程度予測されたため、商品カテゴリーにもよるが、在庫を厚めに持つように務めてきたという。今回は、緊急事態宣言の対象エリアが1都3県に限定されること、学校休校がないことなどから、2020年春ほどのパニック的な需要爆発はないとも見られ、前回の経験値を生かしつつオーダーに対応していくとしている。

カテゴリーとしては前回同様、食卓惣菜、個食商品群に需要が集まる可能性があると見ている。在庫に関しては、特段厚めにするなどの対応は行っていないというメーカーもあり、対応はまちまちのようだ。

また、2020年ほどのパニックにはならないとの見方も複数あった。

前回の緊急事態宣言は2020年4月7日に東京都、神奈川県、埼玉県、千葉県、大阪府、兵庫県、福岡県の7都府県に対して出され、4月16日に対象が全国に拡大された。今回は南関東に限定されている状況で、全国でパニックが起きた前回とは状況が異なる。これだけ限定的なエリアであれば、供給のコントロールもしやすい状況との見解もあった。

足下ではすでに受注が増えているが、第1波の時のようにすべての商品の需要が一気に上がるような状況にはない。ただメーカー各社は基幹商品の安定供給に軸足を置く体制を続けてきたが、増産余力の小さい商品群については、需給状況を注視する必要がある。

家庭用冷凍食品大手のテーブルマークでは、特にパックご飯やお好み焼・たこ焼、トレー入り麺など需要が高止まりしている商品については需給バランスを注視して安定供給を図っていくとしている。

〈冷食日報2021年1月8日付〉