ニチレイ 2022年3月期第2四半期、加工食品は家庭用・業務用とも増収も大幅減益

ニチレイフーズ「本格炒め炒飯」
〈コロナでタイ拠点が稼働低下、原材料コストの上昇響く〉
ニチレイが11月2日発表した2022年3月期第2四半期連結決算は、売上高が2,945億7,800万円で前年同期比4.5%増、利益面は営業利益が160億2,000万円で4.3%減などとなった。

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売上げは加工食品事業と低温物流事業が堅調に推移したが、利益面では低温物流が伸長した一方、加工食品が大幅減益となった。なお四半期純利益は投資有価証券売却益などで増益となった。また「収益認識に関する会計基準」等を適用しており、当第2四半期の売上高は37億8,200万円減少し、営業利益、経常利益及び税金等調整前四半期純利益はそれぞれ1,300万円増加した。

加工食品事業は売上高が1,207億6,600万円で前年同期比7.2%増、営業利益は67億6,600万円で21.2%減少した。家庭用・業務用ともに販売が拡大、海外子会社の売上げも貢献し増収とった。一方でタイの生産拠点で新型コロナウイルス感染拡大に起因する労働力不足から稼働が低下、また原材料・仕入コストの上昇の影響によって減益となった。原材料・仕入れコストの増加による当第2四半期の減益影響額は10億円としている。一方でタイ拠点の業績影響は下期に大きくなる見通しだ。

そのうち家庭用調理品は売上高が383億8,600万円で前年同期比11.6%増と伸長した。テレビCMなどの販売促進活動や生産能力増強により、発売20周年を迎えた「本格炒め炒飯」や「特から」を中心に引き続き販売数量を伸ばした。「本格炒め炒飯」の販売は13%増で推移している。新商品では今春発売した「たいめいけんサイコロステーキピラフ」などが寄与した。

業務用調理品は売上高が437億円で2.4%増と前年の落ち込み(15.0%減)に対して回復を見せた。大手ユーザー向けの回復は計画より遅れたが、外食・給食向けが前期を上回り増収となった。業態別の新たなニーズに合わせた商品開発や販売活動に注力した結果、有名シェフ監修による「シェフズ・スペシャリテ」シリーズや2021年春発売した「柔らかひれかつ」などの取扱いが拡大した。

農産加工品の売上げは横ばい。ブロッコリーなど「そのまま使えるシリーズ」の取扱いが伸長したものの、枝豆類が低調に推移し合計で前期並みとなった。

海外は売上高204億7,600万円で17.1%増と大幅に伸長した。米国子会社のイノバジアン・クイジーン社で、需要が増加する家庭用主力商品の調達先を拡大したことなどにより、取扱いが伸長した。一方でタイの生産拠点ではコロナ禍により減産となり供給不足につながっている。タイでは入国規制によって労働力確保が課題となっている。工場の機械化も進めているが追い付いていない状況だ。労働力確保について、大櫛顕也社長は「今年いっぱいは厳しい状況が続くだろう。入国規制が緩和されて来年上期(海外は12月期)あたりまではフル稼働できるかどうかという状況を見込んでいる」とした。

タイ拠点(GFPTニチレイとスラポンニチレイ)の今期(2021年12月期)の稼働水準について、上期は約9割、下期が約7割と見込む。

代替品の手当てについて、中国のOEM先での生産やチキン以外の国内製品によって総量は十分手当できているという。

ニチレイでは11月からの価格改定を発表しているが、大櫛社長は「市場の受け入れは厳しい環境にあるが、交渉に努めている。今回うまくいかなかったものは次も見据えていく」とした。

〈ニチレイグループ冷食7.4%増1,147億円〉
ニチレイグループ(ニチレイフーズとニチレイフレッシュ)の冷凍食品売上高は1,147億2,400万円で前年同期比7.4%増。うち業務用調理冷食が437億100万円で2.4%増、家庭用調理冷食が383億8,600万円で11.6%増、その他が326億3,700万円で9.9%増。

〈冷食日報2021年11月5日付〉