(大阪発)菊正宗酒造は26日、神戸市東灘区の本社で、同日32年ぶりに新社長に就任するとともに、菊正宗当主に代々受け継がれてきた名跡を襲名した嘉納治郎右衞門社長と、代表取締役会長に就任した嘉納毅人新会長が記者発表会を開催した。嘉納新社長は第十二代嘉納治郎右衞門の襲名、日本酒業界の現状、菊正宗酒造の今後の方針について説明を行った。

嘉納新会長は、「世の中の変化が早くなっている。変化に迅速、的確に対応するには若い世代がリーダーシップを取ること、過去の成功体験に関わらず、新しい発想で様々な施策を行っていくことが企業にとって大切だ。特に最近では、若い女性が日本酒を飲みたい、飲んでみたいという調査が出ており、4年前にユネスコの世界無形文化遺産として“和食;日本人の伝統的な食文化”が登録されるなど、清酒業界にとってチャンスが訪れている。新しい発想を持った若い時代に対応するリーダーシップが必要ということで、社長を交代することになった。新社長は日本酒の未来を切り開く原動力である」と強調した。

嘉納新社長は嘉納治郎右衞門を襲名したことについて、「45年ぶりの襲名となる。新会長の父と祖父は襲名していなかった。社会的、経済的な背景があったと思う。祖父は戦後復興期から高度成長期に、父は安定成長期、バブルとその崩壊、阪神淡路大震災やデフレなど非常に難しい時期に当主だった。2人は経営の近代化、成長期における安定品質、安定供給に尽力してきた。そういう時代においては、歴史や伝統、文化が重要視されない風潮があったのではないか。しかし、これからはそういった価値観が重要な時代になってきていると考えている。今後の経営ビジョンとして“伝統と革新による新たな価値創造”という大きなテーマを目指していく。襲名理由は伝統を重視する考えを自ら体現するためだ。そして、菊正宗酒造という手前味噌だが日本を代表する老舗企業の看板、ブランドを背負っていく決意を自ら課すため襲名に至った」と説明した。(続きは本紙で)