サドヤと沼田実氏がコラボ、ワインプロジェクト「PAGE-ONE」(ページワン)スタート

左からサドヤ4代目・今井裕景氏、テイストアンドファン代表・沼田実氏、サドヤ醸造部主任・村松幸治氏
サドヤはこのたびワインの新プロジェクト「PAGE-ONE」(ページワン)をスタートした。サドヤとテイストアンドファン株式会社代表の沼田実氏がコラボレーションする新ブランド。今秋から仕込みを開始する。

4つの産地からブドウを冷蔵搬送し、サドヤの醸造所で醸造する。すでにぶどう農家と契約を結んだ。サドヤ4代目の今井裕景氏はボルドーのコスデストゥルネル、沼田氏はニュージーランド国立リンカーン大学ブドウ栽培・ワイン醸造学科で学んだ俊英。

沼田氏は経緯を紹介して「もともと私が品川のホテルパシフィックでソムリエをしていたときに日本ワインのリストのトップを占めていたのがサドヤのシャトーブリヤン。私も大好きで、このようなコラボができるのは光栄だ。一昨年、サドヤ100周年のプロジェクトでプロモートに関わったのが最初のお付き合い。サドヤは“伝統とは革新の連続”という考え方を持っており、新しいブランドを立ち上げたいという考えだ。これまでサドヤが入り込めなかったような間口、また古くからのお客様にも広げていきたい」と語った。

なお、小売価格については未定だが、「ブドウの運搬も冷蔵で行うなど、徹底して温度や製法にお金をかけるので、そうリーズナブルにはならない。スクリューキャップを採用し、容量は750mlにしたい」(沼田氏)。

サドヤの今井裕景氏は会社の沿革を紹介して「1917年にワイン事業を興し、本場のワイン造りを甲府で実践することを目指した。1936年に自社農場を開設し、約40種類のワイン用ブドウをフランス・モンペリエから導入した。1946年に良質なセミヨン、カベルネ・ソーヴィニヨン、メルローを収穫。このビンテージを“いつまでも輝きつづけるワインを造る”との思いを込めてシャトーブリヤンと命名し、1950年に発売した」と述べた。

沼田氏が2010年に設立したテイストアンドファンは、ワイン研修・ワインセミナー・ワインコンサルティングなどを手掛ける。昨年は製造免許を取得したばかりの株式会社ヴィンヤード多摩で醸造家としてワインを生産し、初ヴィンテージ「かーさのらぼうな ロザート2018」がサクラアワードで金賞を、「同 ロッソ2018」が銀賞を受賞している。沼田氏のワイン造りのモットーは“醸して自然”だという。

発表会ではサドヤの「スモークロゼ 2018」「紅 2017」と、「かーさのらぼうな」2品をテイスティングした。「明確に醸造哲学が違うことがみてとれる。私の方は早飲みタイプということもあるが、シンプル。サドヤさんは熟成ということに力点を置いている。この2つの方向性のコラボに注目してほしい」(沼田氏)。

今回のプロジェクトの4つの産地は〈1〉山梨県甲州市産=メルロ(勝沼地区)2,000kg、カベルネ・ソーヴィニヨン(大和地区)500kg。〈2〉山梨県甲府市産=甲州(善光寺)1,500kg。〈3〉山梨県穂坂地区産=マスカット・ベーリーA5,000kg。〈4〉長野県高山村産=シャルドネ(日滝原地区)2,000kg。

「長野県高山村は北信地区の雄。アタックし甲斐がある。またシャルドネは、プライマリーフルーツアロマがほとんどないやりがいのある品種だ。もっとも拳に力が入っている」(沼田氏)。

〈酒類飲料日報 2019年6月3日付〉