新型コロナの影響が輸入ビールのインポーターにとって深刻な問題に、「酒税納税時期変更」を

新型コロナの影響が輸入ビールのインポーターにとって深刻な問題に(写真はイメージ)
新型コロナウイルスが多くの業界に影響を及ぼす中、料飲店の営業自粛や各種イベントの中止が輸入ビールのインポーターにとって深刻な課題となっている。

飲食店での酒類販売は期限付きで緩和されたが、オクトーバーフェストやベルギービールウィークエンド、けやきひろばのビール祭りなど、ビール関連の大型イベントが軒並み中止となる中、イベントを見込んで輸入された大量のビールをどうやって売り切るか。ウイスキーやワインと違い、ビールには賞味期限があるため、問題は深刻だ。

さらに、売れる見込みが立たないのに、多額の酒税を通関時に前払いしなければならない。もし、賞味期限内に売り切る見込みがなく、ビールをすべて廃棄したとしても、通関時に納税した酒税は還付されない。

既に「売り切る見込みがない」との判断で、通関を拒否し、製造元に送り返す事例も出ている。だが、ビールを返送しても、例えば欧州なら船便で約6週間かかるため、さらに賞味期限が短くなり、商品価値が下がるうえ、醸造所と日本のインポーターの間の関係にも亀裂が生じかねない。もし信頼関係が崩れたら、コロナ問題が収束した後に、輸入が再開できるかどうか。

一方、国産ブルワリーの場合、酒税は出荷翌月末に申告、翌々月末に納税する形になっている。万一廃棄する場合も、醸造所にて酒類指導官立会いのもと廃棄すれば、酒税は発生しない。

輸入ビールについても、出荷翌々月末の納税が認められたら、インポーターにとっての負担が軽減される。また、国産同様に酒類指導官立ち合いの元での廃棄が認められれば、インポーターの損失はビールの原価と輸送費のみですむ。

今のこの状況が長く続けば、大量のビールが返送されることになり、輸入ビールの酒税税収が見込めなくなるだけでなく、輸入ビールの市場自体が今後シュリンクしかねない。

輸入ビールのインポーターには小規模な会社も多く、キャッシュフローの危機にある。輸入会社の酒税納税時期の変更について、一時的な緩和や還付などの措置を行ってほしいとの声が多くのインポーターから上がっている。

もし、酒税納税時期が出荷後になれば、インポーターも大胆な輸入に踏み切れる。結果的に、輸入量も増え、税収アップにもつながるはずだ。酒税納税時期の改定はすぐには難しいかもしれないが、少なくともイベントの中止や賞味期限切れに伴う廃棄処分に関しての酒税の還付には応じるべきではないか。

〈酒類飲料日報2020年4月28日付〉