本坊酒造 マルス信州蒸留所を35年ぶり一新、ウイスキー蒸溜棟とビジター棟を新設

本坊酒造取締役会長本坊修氏、駒ヶ根市市長伊藤祐三氏、宮田村村長小田切康彦氏、三宅製作所代表取締役社長三宅秀和氏、本坊酒造代表取締役社長本坊和人氏
本坊酒造は9月10日、マルス信州蒸溜所の竣工式神事・安全祈願及び竣工記念式典を開催した。

昨年5月から、老朽化した設備の改修とウイスキー増産を見据えた樽貯蔵庫施設の整備を目的に、ウイスキー蒸溜棟(樽貯蔵庫を含む)とビジター棟の新設、既存設備及び施設を改修。同蒸溜所が1985年に竣工してから、35年ぶりの全面リニューアルとなった。

今回のリニューアルで同社は、2つの蒸溜所と3つの熟成地を拠点としたウイスキー生産体制に拡充。あわせて、ウイスキー造りが見学できるウイスキー蒸溜棟と、広々とした空間のバーのほか、オリジナルウイスキーやグッズが購入できるビジター棟を新設した。

式典の席で同社代表取締役社長本坊和人氏は、「酒税法改正、ウイスキー級別制廃止以降、ウイスキー需要が低迷する中、1992年から蒸留の休止を余儀なくされ、貯蔵しているモルト原酒の商品化などに注力しつつ、細々とウイスキー事業を継続してきた。世界でジャパニーズウイスキーが評価されはじめる中、ウイスキー需要が回復傾向にあった2009年に、蒸留再開を決意。2011年2月より再スタートが切れたことは、弊社にとって大きな転機となった。信州の豊かな自然環境の中、モルト原酒は素晴らしい熟成を遂げ、鹿児島と山梨から引き継ぎ、信州の地で25年熟成したブレンデッドモルト・ウイスキーが、2013年のワールド・ウイスキー・アワード(WWA)で世界最高賞を受賞したことは、喜ばしい出来事だった。今後は、マルスウイスキーの魅力をより深くお伝えする生産拠点として、地域の観光振興に貢献すべく取り組みたい」とあいさつした。

投資額は約12億円。新設したウイスキー蒸溜棟は1,996平方メートル(延床面積、約2,500樽収容予定の樽貯蔵庫含む)、ビジター棟は746平方メートル。第一、第二、第三樽貯蔵庫、旧蒸溜棟、旧ショップを改修した。

【製造能力】
原料麦芽1.1t/日

【原酒製造】
約700L/日、約185KL/年(2020年度予定)

【主要設備】
麦芽粉砕機1基、マッシュタンロイテル(糖化槽)6KL×1基、ステンレス発酵タンク6KL×3基、ダグラスファー木槽発酵タンク(移設)6KL×3基、初溜釜(移設)

〈酒類飲料日報2020年9月16日付〉