食肉処理施設は流通の起点として重要な役割-食肉生産技術開発Cが成果発表会

公益財団法人日本食肉生産技術開発センターと食肉生産技術研究組合は9日、大手町のKDDIホールで2016年度(平成28年度)研究開発成果発表会を行い、水圧駆動によると畜・解体機械の研究開発、豚部分肉自動脱骨装置の研究開発など研究成果を紹介した。また、厚労省の道野英司監視安全課長が「HACCPによる衛生管理の制度化に向けた検討結果」について食肉処理を中心に説明した。食肉・行政関係者など約150人が参加した。

冒頭、同センターの塩飽二郎理事長が、「TPPが合意に達したが、米国の離脱によりほとんど“死に体”。日EU・EPAの交渉も日本の自動車市場や、豚肉、乳製品への要求もあり、進展はしているものの、今日明日というわけにはいかないだろう。国際的な状況が大きく動く中で、自給率の向上、安全・安心で品質の高い食肉の供給が大事で、食肉処理施設は食肉流通の起点として重要な役割を担っている。その中でHACCPの導入に努力してきたところだ。当研究組合は食肉処理や流通の効率化、衛生の高度化を図るための機械・設備の研究を行い、これまでに180を超す課題に取り組んでおり、食肉処理の高度化に役割を果たしたと自負している」と、食肉処理施設の重要性を強調してあいさつした。

来賓では農水省食肉鶏卵課の新納正之課長補佐があいさつし、農業競争力強化プログラムを紹介するとともに、「食肉流通では、効率的な流通をめざし食肉流通施設の高度化、再編を進める。さらに輸出促進へ、対応できる施設の整備が大きくかかわる。施設の再編では、5施設で実施する計画だが、数カ所から申請があり、施設整備に関心が高い」と述べた。

発表会では、①水圧駆動の食肉処理機械への活用=日本フルードパワー工業会②水圧駆動装置によるダウンプーラー(牛の剥皮機)の開発=インターマシン③水圧駆動による豚枝肉用自動背割機の開発=マトヤ技研工業、④処理ラインの集中監視システム=花木工業、⑤豚部分肉自動脱骨機の研究開発(豚もも自動脱骨ロボット)=前川製作所、スターゼンミートプロセッサー–が発表された。最後に「Internet of Thingsの畜産への活用」と題して東光高岳の齋藤欽也部長が講演した。