農林水産物・食品の輸出前年比0.7%増の7,503億円、4年連続増-農水省

農水省は10日、17年の農林水産物・食品の輸出実績を発表した。2017年の農林水産物・食品の輸出額は前年比0.7%増の7,503億円となり、4年連続での増加となった。これについて山本有二農水大臣は閣議後の会見で「工業品を含めた我が国の輸出全体では7.4%の減少となっており、この中で農産物などが前年を上回ることができたのは画期的なこと。農産物では、米、牛肉、ぶどう、いちごは2割以上の伸びを示し全体でも3.7%の伸びとなった。水産物はホタテの不漁などもあり減少したが、1兆円目標の達成に向け、政府上げて輸出拡大の支援をしていく」と語った。過去3年の2桁増と比べ、輸出額の伸びが鈍化しているとの指摘に対しては、「為替の影響が大きい。全体で減少の中の増加であり、全体がプラスマイナス・ゼロの環境なら大きく伸びていたと考えられる」と答えた。

主な輸出先国への輸出額は①香港前年比3.3%増、1,853億円②米国同2.5%減、1,045億円③台湾同2.3%減、931億円④中国同7.2%増、899億円⑤韓国同2.3%増、512億円–。

畜産物(牛肉、豚肉、鶏肉、鶏卵、牛乳・乳製品)の2017年の輸出量は、前年比16.8%増の3万467t、輸出額は24.7%増の295億3,600万円となった。うち牛肉は輸出量が18.5%増の1,909t、輸出額は135億5,200万円。豚肉の輸出量は10.8%増の1,658t、輸出額は4.6%増の8億5,100万円。鶏肉は輸出量が0.2%増の9,053t、輸出額は3.6%増の17億2,200万円となった。

会見では、今後の輸出拡大への取組について「昨年5月の輸出力強化戦略に書かれた戦略を更に進めなければならない」として①海外市場のニーズの把握②需要の掘り起こしに向けたプロモーション③農林漁業者、食品事業者の販路開拓のための相談体制の強化④商談会の出展などの支援⑤農林水産物輸出インフラ整備プログラムに基づくインフラ整備の推進⑤コールドチェーンの整備など生産物を海外に運ぶ体制の高度化への支援⑥輸入規制の緩和撤廃交渉–を挙げた。「輸出環境の整備はまだまだこれから。一つひとつ今まで遅れていたことを取り返す」と意欲を示した。

2019年の1兆円目標の達成に向けた実現可能性については、「中国の豚肉などの消費など消費がぐんぐん伸びていく国際環境にある。世界の食料事情にひっ迫感が必ず出てくる。オリンピックの開催で日本に注目が集まり、インバウンドが2,000万人を超えるなど、日本に対する理解が進めば進むほど海外でもニーズが高くなってくるという時でもある。あきらめずに1兆円を目指したい」としている。