ブラジル鶏肉、調査報告受けるまで慎重な輸入手続き維持-厚労省

不衛生な鶏肉を輸出している可能性がある、として、ブラジルで21施設が操業停止や特別監査の対象となっている問題。厚労省は、対象施設のうち日本向けに輸出実績のある2施設から出荷された鶏肉などについて輸入手続きを保留しているほか、21施設以外の施設から出荷された鶏肉についても衛生状態の検証を行うなど、輸入手続きが大幅に遅れているもようだ。「ようやくブラジル政府筋から情報が出始めた」。情報が少ない中、輸入をコントロールせざるを得ない同省としても頭の痛いところ。同省は「ブラジル政府から、衛生管理に関する納得のいく報告があるまで、当該国から輸入される鶏肉などについて、慎重な手続きを継続する」方針だ。

事件の発端は、ブラジル捜査当局が行っている汚職一掃キャンペーンの動きに始まる。賞味期限切れや違法な薬剤の使用などを指摘する現地メディアの報道など、贈収賄事件の発覚に伴い食品衛生に関する情報も複雑に飛び交った。「司直による捜査によって情報が閉ざされるものの、食品事業者が何らかの不正を隠すために関係者に賄賂を渡したことを踏まえると、食品安全を及びかねない事態を想定せざるを得ない」(厚労省幹部)。3連休明けの21日、同省は対象施設をめぐる輸入手続きの保留措置を実施する各検疫所に通知した。

その後、事件の捜査も一段落したのか、27日になると、同国の食品安全部局から「徐々に情報が出されるようになってきた」(厚労省監視安全課)。食品衛生上の問題に絡んでか、国家消費者局は、操業停止の3施設以外の3施設についてリコール(回収)命令を出すに至る。回収命令を受けた3施設についても、厚労省によると、日本への輸出実績はない、という。

同省輸入安全対策室は「現在ブラジル政府に対して、施設ごとの食品衛生上の問題の有無について照会しているところだ。信頼性のある調査報告書が提出されるまで、当該国からの輸入手続きは引き続き慎重な姿勢で臨むことになる」と話している。