伊藤米久HD宮下社長「シナジー効果は予想以上、今期含め25.7億円を見込む」

伊藤ハム米久ホールディングス(以下HD)は11日、東京・中央区の東京証券取引所で17年3月期決算(既報12日付)について記者会見を開いた。このなかで宮下功社長は同期に行った経営統合(16年4月1日付)による営業利益でのシナジー効果が12億2千万円に上ったことについて、「初年度は期初に10億円を見込んでいたが、想定以上のシナジー効果が生まれた。今期は前期分と合わせて統合前に比べて25億7千万円のシナジー効果を見通している」と説明。前期に続いて原料・資材の共同調達などをより進めつつ、物流面での統合や生産の相互委託など、グループとしての最適化を推し進めることで、さらなるシナジー効果を生み出してゆく方針を示した。

会見で宮下社長は、加工食品事業で10億5千万円、食肉事業で1億7千万円のシナジー効果が生まれた点に関して、「具体的には、加工食品で資材や原材料、副原料の共同購入・共同調達が大きな部分であり、ダンボールや包装資材など伊藤ハムと米久の数量を合わせることにで、より安価な調達ができるようになった。食肉に関しても直貿によるコスト削減効果が現れるようになり、これが12億2千万円のシナジー効果となった」と説明した。

今期(18年3月期)予想では売上高8,400億円(前期比6%増)、営業利益225億円(同4.9%増)、経常利益250億円(0.5%増)、当期純利益は165億円(8.5%減)を予想しており、このうちシナジー効果は加工食品で10億円、食肉で3億5千万円の合計13億5千万円に上ることを見込んでいる。

これについて、「増収に関しては加工品・食肉ともに数量増に伴うものが大きく、5~6%増加と見込んでいる。増益分ではシナジー効果が一番大きく、加工食品では数量増とコスト削減、食肉の方も販売数量の増加が見込めるが、このうち海外事業が前期11億円マイナスとなった反動もあり、今期は海外事業でもプラス(2億5千万円増)と見込んでいる。結果、その他のマイナス要因をカバーして増益となる見通し。純利益の減益に関しては、前期が特別利益を大きく計上、とくに株式の売却益で20億円前後計上したが、今期はそれがないため、結果、純利益は減益となっている」(宮下社長)。

とくにシナジー効果については、「今期も同様に継続する見通しで、前期は4月1日に経営統合し、それまでの準備期間があまりなかったものの、今期からはそれの効果がダイレクトに出てくると思われる。さら新たな取組みにより、今期は前期の分と合わせると統合前に比べ25億7千万円のシナジー効果が出ることを予想している。今期新たに取り組む点では、加工食品事業でさらに共同調達を進めるほか、物流面での統合も進める。さらに生産の相互委託など、グループ内での最適化を推し進めることで、今期はさらなるシナジー効果を出してゆきたい」と述べた。