【輸入豚肉在庫事情】欧州産の先高で在庫確保の動き強まる、秋以降減少推移か

輸入豚肉の国内在庫量は、15年下半期以降の在庫調整を踏まえてこの一年余りは14万~15万t水準で推移してきたが、昨年11月以降、期末在庫は昨対増で推移しており、5月末の推定期末在庫は16.4万t(前年比3.1%増)に上った。現在の市場環境を考えると13万~14万tが適正水準とみる関係者もあり、その意味で16万tレベルはやや過剰気味、といえる。再び在庫増加の局面に移ってゆくか–、と言いたいところだが、欧州産豚肉のコスト高騰を受けて必要最低限の手当ても難しい状況になりつつあり、夏場以降、タイト感が強まってくる可能性もある。

農畜産業振興機構の需給表では、5月末の輸入豚肉在庫は16.4万tと、前月から7,250t増加した。また未通関在庫も1.6万t(前年同月比22.9%増)に上っている。5月の出回り量が6.9万t(同8.2%増)に急減したためだが、この16万tという数字に対して商社筋は「欧州産の先高を受けて、各社かなり在庫をキープしているのでは」とみている。実際に、この間フローズン現物の荷動き自体は大きくなく、相場も強含んでいた。ただ、相場先高が末端にも徐々に浸透してきており、ここにきて「デンマーク産シートベリーなどここ数週間で引合いが強まっており、すでに玉ナシとなっている」(卸筋)状況だ。こうしたなか、欧州では母豚のとう汰の影響で現地生体価格が高騰し、枝肉価格もついに100㎏当たり180ユーロを突破、「肉豚が足りなく、産肉量を増やすために、農家でも豚をキープしている」(商社筋)という。この現地事情を反映して、「すでにベリーのコストはヘソ上に達し、先の契約が難しくなっている。コンビを組むためカタロースを入れても、その在庫の恐怖感があるため、必要最低限の量しかコンビを組むことができない」(同)と、下半期の輸入量の減少を指摘する。

農畜産業振興機構の需給予測では、6月のフローズンの輸入量は4.2万t(前年同月比5.4%減)、7月は4.2万t(同9.4%増)と予想している。このほかチルフロ玉にも左右されるが、足元の需給状況をみると、8月末時点での在庫量は14.8t前後にまで漸減すると予想され、秋以降の輸入フローズン豚肉の需給は締まった展開になるものと予想される。