6月の黒毛77.6万円と続落、前年比でも1.1%減に-機構・素牛価格

2017年6月の肉用素牛価格は、黒毛和種で前月比2.8万円安の77.6万円と、過去最高を記録した16年12月の85.2万円から6カ月連続で下げた。また、前年比でも1.1%安となったが、前年同月を下回るのは12年3月以来のことになる。今回は、鹿児島曽於中央市場で5千円安、肝属中央で4.2万円安、宮崎都城で2.7万円安、ホクレン南北海道で3.4万円安、同十勝で1.3万円安と、曽於中央は比較的小幅な下げだったものの、他の主要市場では大きく下げた。6月は不需要期で、これを見越して肉牛出荷が少なく、子牛の購買意欲も盛り上がらなかった。さらに主要市場からは「今月あたりから素牛価格が高騰し始めた時期の肉牛が出荷されるが、枝肉価格が下げ傾向の中で採算が悪化しており、素牛価格は下げざるを得ないのでは」との声が聞かれる。実際に7月、8月は和牛など国産牛肉の需要期に向かうものの、肥育農家の採算の悪化と、畜産統計で2月1日現在の子取り用雌牛頭数が1.4%増加したことを勘案すれば、素牛相場の下げトレンドが続くと見られる。

農畜産業振興機構がまとめた2017年6月の家畜市場の肉用子牛の取引価格(10日現在の速報値)によると、黒毛和種は前年比で1.1%安の77.6万円、褐毛は2.5%高の68.9万円、交雑種は2.1%安の38.5万円、ホルスは2.3%安の21.9万円となった。黒毛和種が前年同月を下回るのは上記のように12年3月以来、およそ5年ぶりとなる。また交雑種も前年を下回った。前月比では、黒毛で2万7,818円安、褐毛で2万1,437円安、交雑は1万6,536円安、ホルスで4,822円高となった。

黒毛和種は、5月の2万円近い下げから、さらに大きく下げた。主要市場をみると、鹿児島曽於中央市場が前月比で4,989円安の82.8万円、肝属中央は4万1,716円安の81.3万円、宮崎都城で2万6,601円安の78.4万円、ホクレン南北海道で3万4,004円安の77.3万円、十勝で1万3,411円安の77.5万円となった。曽於は比較的下げ幅が小さかったが、他の主要市場で大きく下げている。

肝属中央市場では、「6月は不需要期で出荷が少なく、肥育小屋が空かないことで素牛の買い気が少なかった。7月は旧盆などの需要期に向けて出荷は多くなるが、相場が上がっておらず、それを考えれば素牛相場も下がるのではないか。また、素牛が高騰した時期の肉牛の出荷が始まりつつある。しかし、枝肉相場は、和去など5等級では前年比で大きく下げてはいないが、3等級は300円前後下げている。肥育農家の採算が悪化することが見込まれ、これらを勘案すれば5月の85万円などの素牛価格は難しく、10万円前後下がるのではないか」と、今後、素牛価格が高い時期の牛が出てくる一方で枝肉相場が上がらず採算が悪化する中で、今後の素牛価格はさらに下げざるを得ないと見ている。

なお、褐毛和種は4月こそ73.6万円に上昇したが、5月に71.0万円、6月は2.1万円安の68.9万円と続落し、70万円台を割り込んだ。16年12月の84.1万円をピークに下げ傾向が続く。交雑種は、38.5万円と16年7月以来の40万円台割れとなった。