牛タンの上期輸入量は冷凍11%増の1.2万t、チルド12%増の7千t

貿易統計によると2017年1~6月(上期)の牛タンの輸入量は11.5%増の1万9,521tとなった。うち冷凍は11.3%増の1万2,326t、チルドは12.0%増の7,195tだった。前年は高値で苦戦した冷凍牛タンも価格がわずかながらも下げたことで増加したほか、量販店などでの扱いも定番化したことでチルドも増加傾向が続いている。かつて(表中03年など)は大半が冷凍で輸入され、焼肉店や牛タン専門店で扱われていたが、量販店での販売が増えたことで需要のすそ野が広がっている。牛タンは、BsEによる米国産の輸入停止時期に米国内やメキシコでも市場が形成されたほか、日本国内でもチルド需要が高まったことで、冷凍向けが少なくなり、牛タン相場は前年8月には米国産で1,800円前後まで高騰した。今年は、前年からは緩んでいるものの、依然として1,650前後と、15年8月時点を300円近く上まわっている。

牛タンはもともと日本のみで消費され、BsE以前は米国で生産される牛タンのほぼ全量が日本に入ってきていた。しかし、BsEにより対日輸出がストップする中で、米国内やメキシコでも牛タンの市場が形成された。輸入解禁後も、米国、メキシコが競合国として残り、牛タンを取り合っている状況だ。牛タンはやはり、グレインの評価が高く、安定的に供給できるのは米国が中心になるが、売り手市場の中で価格は高めで維持されている。また豪州産は全量が日本向けになるが、出荷頭数の減少により前年を下回っている。

なお、03年の輸入量はすべて冷凍で3.6万tだったが、ようやく16年に冷凍・チルドをあわせて3.6万tと輸入数量的には最盛期に戻った。ただ、当時はムキタンが主流であり、歩留を考えれば、米国産の供給は当時の8割にとどまるとの見方もあり、まだまだ供給不足の状態だ。さらにこのところ米国産チルドビーフの高値が続いており、量販店では焼肉セットとして、バラに加え牛タン、ハンテンをセットで販売する例も多く、牛タンの高値は解消しそうもない。

本紙の輸入牛内臓相場(冷凍)でみると、15年8月上旬の相場は、米国産で1,300~1,350円、豪州産で870~950円だったが、16年8月上旬には円高の中でも米国産で1,800円前後、豪州産1,700円前後まで上昇。現在は、米国産で1,600~1,650円、豪州産で1,400~1,500円と、下がったとはいえ一昨年を大きく上回っている。