【年末の肉牛出荷見通し】黒毛和種は前年並み、交雑は4%増、乳雄は4%減の見込み

12年以降、和牛中心に肉牛飼養頭数が減少傾向で推移し、出荷頭数のタイトな状況が続いているが、直近の飼養頭数の動向を見る限りは、この年末にかけての出荷は前年並みの水準に落着きそうだ。国産牛では、交雑種が引続き増加傾向がみられる半面、乳雄の減少が続くもよう。

家畜改良センターが21日に公表したことし7月末時点の個体識別情報の全国畜種別・月齢別飼養頭数をもとに、年末にかけての出荷を予想した。このうち、黒毛和種はことし9月から12月にかけて出荷適齢期を迎える24~27カ月齢の仕上げ期の飼養頭数は15万2,403頭に上り、前年同期比0.2%増となっている。もちろん、この先の年末の最需要期に向けては出荷の繰延べ・早出しも予想されるが、同時期の飼養頭数は過去6年間、毎年減少傾向が続いていたなかで、ここにきて前年比微増に転じた。ここ数年間の繁殖雌牛の増頭に向けた全国各地の取組みが子取り雌牛の増加(16年に6年ぶりに増加)につながり、結果、飼養頭数の回復に繋がったといえる。ただ、これら出荷適齢牛の肥育素牛価格が全国平均でも70万円台半ばで高騰していたことを考えると、秋から年末の枝肉市況によっては肥育農家のさらなる経営圧迫も懸念される。

一方、交雑種は酪農経営での乳用種への黒毛和種の交配率上昇の影響で、21~24カ月齢の飼養頭数は7万7,598頭・4.0%増となった。 

前年同時期の飼養頭数は10.0%増(7.5万頭)となったため、2年連続で増加となる。これに対して乳雄の14~17カ月齢は5.4万頭で3.8%減少となり、同時期としては3年連続で昨対割れとなった。酪農経営の戸数減少や雌雄判別精液の利用増加で乳雄の出回り頭数が減っており、9~13カ月齢の飼養頭数もそれぞれ前年同月より4~10%少ないため、来春にかけても乳雄の供給減が続きそうだ。