米国産チルド11月生産のオファー高値維持、強気の手当ては難しいか

今週中(27日まで)に米国産チルドビーフ11月生産分についての成約が決着する。

足元の需要自体は、ここにきて切り落としが動きスソ物を中心に締まってきているが、決して好調ではなく、その一方でオファーはプレート系が高止まり、チャックアイは上昇となり、強気で買える状況ではないようだ。さらに豪州産は、現地の降雨により一部のパッカーでは工場稼働率を下げざるを得ないなどグラスでは先の供給不安が懸念されるものの、グレインは現地フィードロットがキャパ一杯といわれ、チルド・グレインの供給は増加が見込まれる。米国産チルドは、ショートプレートの輸入量が8~9月に消費が低迷する中で予想を上回り、10月上旬に入りやっと余剰感が解消された経緯がある。これらを踏まえれば、米国産11月生産分のチルドの手当ては抑え目にならざるを得ないと見られる。

夏以降の輸入牛肉の状況をみると、8月1日からの米国産などのフローズンビーフでSGが発動される中で、スポット需要を見込んでチルドのショートプレートが多めに輸入され、これがフローズンの価格にも影響する事態となった。夏場の天候不順による消費不振もあって、このショートプレートと、同じく大量輸入があったチャックアイの消化は10月上旬までかかった。また消費面では、牛タンなど内臓系の消費も失速している。牛タンは高値の中でも好調な消費が続きモノ不足が深刻になっていた。しかし、今期に入ってからは先高を見越して、仙台関連の大口需要者が高い段階の玉を大量に確保した。外貨は一定程度下がったが、この市中在庫がはけない限り物が動かない。アウト・ハンテンもチルドビーフが荷余りする中で動きは鈍い。時期的にも現状は焼材から煮込みにシフトする端境期でもあり荷動きはパッとしない。

豪州産チルドビーフは、船積みベースで8月に1.1万t、9月に1.0万tと数量的にはそう多くはないが、米国産が荷余りする中で需要を上回り、米国産同様に10月上旬まで余剰感が強かった。その後、長雨による気温の低下により切落しが動き始め、現状ではクロッド、ポイント、シルバーが品不足となっている。台風により入船が遅れている関係もあるが、スソ物を中心にタイト感が出ている。今後の供給については、前述のようにグラスについては先の供給に不安もあり、フローズンのトリミングに影響が出ることも考えられる。しかし、グレインについては供給は安定しており、チルド・グレインは一定程度の入荷が見込まれる。

その中での今週の米国産チルド11月生産分の成約だが、米国現地では、プレート系では香港に旧正月向けの販売が行われる関係で日本向けに安価には出せず、外貨は高止まりしている。チャックアイも高値が続くなど買いづらい状況だ。日本国内のマーケットは、チルドの投げが無くなり、やっと締まってきたが、決して販売が好調なわけではない。その中で11月生産・12月入荷の需要期向けの手当てをどうするかだが、やはり強気で手当てするのは難しい状況だ。

今期の輸入牛肉の商売は、4~6月までは好調だったが、米国産などのフローズンでの8月1日からのSG発動、牛タンをはじめとした内臓の停滞、8~9月の需要を超すチルドの輸入による投げ物の発生と大きく様変わりした。10月中旬以降、輸入チルドビーフは米国産・豪州産とも締まり相場もコストなりに戻してきた。その中での米国産チルドの手当てをどうするか、動向が注目される。

〈畜産日報2017年10月27日付より〉