【11月の需給展望〈鶏肉〉】鍋需要強まり、11月モモ相場は上昇、ムネは保合に モモは日経の月間平均で620~630円前後に上昇か

足元の鶏肉相場はモモ・手羽元への鍋需要が強まっており、本格的な需要期に入り始めている。10月は複数の台風に見舞われたことで、週末の外出が減り、行楽需要などは振るわなかったものの、寒さが強まったことから、家庭での鍋向けの商材への引合いが強まった。野菜や豚肉が高値のため家計負担が増すなかで鶏肉、とくにモモ肉への需要は継続して強い。また、昨年に比べてモモ相場は安値での推移となっており、割安感は強い。

一方でムネ肉は、昨年を上回る水準で推移している。さっぱりしたムネ肉はテーブルミートとしては夏に好まれ、夏場と比較すれば引合いは落ち着いているものの、堅調な加工需要もあり下落はしていない。モモ肉、ムネ肉以外では、砂肝、ササミが季節なりに需要が落ちている半面、手羽先、手羽元は好調にある。昨年に引続き、ミツカンの手羽元を使ったテレビCMの効果も大きいようだ。

11月に入ってからは、1週目は3日の祝日の準備と月初の動きが重なりかなり、動きはよかったものの、6日以降は月初に比べれば落ち着いた動きとなっている。今後は、寒さがさらに強まり、年末の需要期も控えるなかで、中旬から後半にかけてモモ肉の相場は上昇していくと考えられる。

ムネ肉は、テーブル用が落ち着くなかで上昇はしないものの、ほぼ保合で推移すると見られる。加工品としてはコンビニの棚でもサラダチキンが充実するなど、年間を通して堅調な需要があり、価格は簡単には上下しなくなってきている。

国産品の生産面では、今年の台風は産地を直撃しておらず、昨年のような影響はない。また、増体も順調で、供給面から需給が大きく締まることはなさそうだ。

輸入品は、10月のブラジル船積みが約3.6万tとなり、8~10月を通してみると数量は多い。このため、ブラジル産モモ正肉の価格は足元では弱含みが続いている。一方で、農畜産業振興機構が発表した9月の輸入鶏肉出回り数量を見ると5.4万tと多い。もっとも10月、11月に同様の出回り量が続くのであれば、現状の輸入量も多すぎるとまでは言えず、順調に消費されれば相場も下げ止まるか。その半面、ブラジル産モモ角切りは数量が少なく、相場は高値で推移している。

【価格見通しなど】10月の鶏肉相場(農水省統計部、税抜き価格)は、モモは月間平均で前月比27円高の599円、ムネは2円安の327円となった。10月は寒さが強まったものの、毎週末の台風で消費が振るわなかった面もあり、モモでは前年と比べ41円安と大きく下回っている。

一方で、現状の価格は需要サイドには割安感が強い。反対にムネは前年から51円高と大幅に高いものの、16年の安値は輸入鶏肉の在庫数量が多かった影響があり、現状の相場は保合で推移するとみられる。日経平均では、モモは前月比23円高の584円、ムネは2円安の322円となった。

11月の鶏肉相場は、モモは冬場の鍋需要を受け中旬から後半にかけ上昇、月間平均で、モモは630~640円(日経平均では620~630円)程度に上昇、ムネは保合で320~330円(日経平均では315~325円)程度と予測する。

〈畜産日報2017年11月10日付より〉