TPP等関連政策大綱の改正案を了承—自民党・経済協定対策本部

畜産日報2017年11月22日付
「一番影響を受けるだろう畜産・酪農の対策、補正の確保を」—野村農林部会長

自民党のTPP・日EU等経済協定対策本部(森山裕本部長)は20日、関係部会と合同会議を開き、総合的なTPP関連政策大綱改定案を議論した。内閣官房TPP等政府対策本部の澁谷和久政策調整統括官が「総合的なTPP等関連政策大綱」の改正案を解説、改正案は了承され、24日の政府の対策本部に提出される。2017年度補正予算に必要な費用が盛り込まれる予定だ。

改正案は2015年11月の「総合的なTPP関連政策大綱」に加筆する形で作られており、澁谷統括官による加筆部分の解説の後、議論に入った。野村哲郎農林部会長は、「TPPの時に決めた肉用子牛保証基準価格を現在の経営の実情に即したものに見直すことについて、子牛を生んで、導入してまた生ませるまでには8カ月かかる。ぜひ今度の畜産(物価格)の改定の時に一緒にやってほしい。繁殖基盤が非常に復元してきているが、繁殖農家は、子牛の価格が下がってきたとなると生産意欲がなえてしまう」と対策の発効前からの早期実施が必要と指摘。また、「補正予算の話が出ているが、畜産クラスターやパワーアップ事業など、予算がどのくらいの規模になるかわからないが、生産者はTPPや日EU・EPAでどういう状況になるか不安がっている。体質強化のためにもどうしても必要であり、一番の影響を受けるだろう畜産・酪農の対策として、是非とも予算の確保を」と農水省に求めた。農水省は、肉用子牛保証基準価格の見直しについて、「対策は関税引き下げの影響に対応するものであり、発効後の実施が妥当」と説明した。

今回示された「総合的なTPP等関連政策大綱」では、畜産、食肉にかかわる加筆は、「高品質な我が国農林水産物の輸出等需要フロンティアの開拓」の部分で『輸出条件の改善及び国内の環境整備を通じた輸出環境の整備』などが加えられた。また、マルキンの法制化に伴って文章を変更しているなどにとどまっている。また、これらの対策は、「TPP又は日EU・EPA発効後の経営安定に万全を期すため…協定発効に合わせて経営安定対策の充実等の措置を講ずる」としており、いずれかの協定の発効を条件とするよう変更されている。

〈畜産日報2017年11月22日付より〉