〈小売価格は輸入品との価格差拡大、需要喚起の鍵は国産牛の小売価格の値下げに〉

出荷頭数の回復を受け牛枝肉相場は前年実績を下回っており、とくに交雑種のB3は4月以降、前年から1割、B2は2割程度の下げとなっている。ホルス去勢も交雑種ほどの下げ幅はないが、3等級でも季節の端境期では3ケタ台を付けるようになった。この枝相場の値下りを反映し部分肉相場も今年から下落傾向にあるが、小売価格の下げ幅は小さい。今後の牛肉の消費回復は小売価格の値下げがカギとなってきそうだ。

牛枝肉相場は、11年の東日本大震災や放射性物質検出などで大きく下落したものの、その後は生産量の減少を受けて高値で推移しており、16年度平均では和去A5で1kg当たり税込み2,854円、和めすA5では3,081円を付け、年度平均では平成元年以降、最高値となった。だが、今年度に入ってから値下がりに転じ、和去A5は2千円台後半ながらも3月以降、前年を下回る軟調の展開となった。和牛4等級以下も同様で、特に高値が目立っていた2~3等級は1割強の下げ幅となった。そして和牛以上に下げ幅が大きいのが交雑種で、4~11月の平均価格では去勢B3で同1,460円・前年同期比13.6%安、B2に至っては1,199円・同20.7%安と、乳用種を含めた規格別価格では最も大きな下げとなっている。このほど発表された交雑種肥育経営の生産費ではすでに16年度が76.9万円(前年度比2.3%増)と07年度以降最も高い水準となっており、牛マルキンがあるとはいえ、肥育農家の採算悪化がより一段と強まれば今後の生産に大きく影響してくるものとみられる。農畜産業振興機構の牛のと畜頭数見込みによると、交雑種は、交配率の上昇によって17年10月~18年3月も前年同期比4%増の出荷が予想されている。12月の交雑種枝肉相場は特段の相場の下げ要因はないにせよ、大きな上げ要素も少なく、年明け以降、出荷頭数の回復により、どこまで軟調が続くか不透明な状況といえる。

この枝肉相場の値下がりと末端不振を反映して今年に入ってから部分肉の仲間相場も下落している。和去A4のサーロインは6月以降1kg当たり税抜き7千円を割っているほか、カタも4~10月平均が3,316円で前年同期比4.6%安値にある。交雑種(B2、B3平均)も、サーロインでは6月以降、5千円を割って推移しているほか、年度平均ではカタが2,188円で同7.1%安、ともばらは1,366円で9.5%も安い。むしろ乳雄(同)のカタロースは1,971円・5.6%高と値上がりしている。

もっとも、枝肉および部分肉相場は概ね値下りしているが、小売価格は小幅な下げにとどまっているのが現状だ。農水省の小売価格調査によると、11月第2週目の国産牛ロース(冷蔵)の通常価格は732円(税抜き)で前年同月と比べて5円値上がり、一昨年比では82円も高値にある。これに対して輸入牛ロース(同)は1円値下がりして277円となり、11月単月の価格では15年以降ほとんど価格は変わっておらず、かえって輸入品の割安感が強まっている。このため、牛肉の消費は和牛を除いて、総体的に安くかつ割安感が強まった輸入品に需要がシフトしているものとみられる。和牛・国産牛枝肉相場が軟調に推移するなか、とくに交雑種については相場に連動した末端小売価格の値下げによって、需要を喚起する必要があるといえる。

〈畜産日報2017年12月13日付より〉