農水省は4日、第1回肉用子牛補給金に係る算定方式検討会を開き、肉用子牛生産者補給金制度の見直しの視点などを説明した。

肉用子牛生産者補給金は、「総合的なTPP等関連政策大綱」でTPPまたは日EU・EPAの発効に合わせて、保証基準価格の算定方式を現在の経営と実情に即したものに見直すこととされている。検討会で整理された基本的な考え方について、食料・農業・農村政策審議会に報告し、審議会の意見を聞いたうえで新たな算定方式を決定する。

冒頭、枝元真徹生産局長は「肉用子牛生産者補給金制度は牛肉輸入自由化に対処するために1988年に制定し、90年度から実施している。17年のTPP合意、日EU・EPAの合意を受け、補給金を見直すこととなっている。実務的な検討会を通じて新たな保証基準価格の算定方式を整理していただく。制度が始まり初の大幅な見直しとなる。今後の日本の畜産に資する活発な議論をお願いしたい」とあいさつした。

〈保証基準価格の算定基礎データは、需給実勢方式から生産費調査をベースに〉
TPP等政策大綱では、現行の「肉用子牛生産者補給金制度」「肉用牛繁殖経営支援事業」を、肉用子牛生産者補給金制度に一本化するとされている。事務局からは、「保証基準価格」の見直しの視点として、〈1〉算定となる基礎データ〈2〉生産性の考え方〈3〉生産の合理化促進の配慮――を示した。

算定基礎データについては、現行の算定方式は輸入自由化前の83年2月~90年1月の肉用子牛の実勢価格を基礎に、物価や生産条件などの変化を織り込んで算定する需給実勢方式で算定している。当時の生産費調査の調査数や制度が不十分だったこともあり、当時もデータが蓄積された段階で生産費調査の採用を検討すべきとされていた。そのため、現在は生産費調査が充実されたことを踏まえ、新たな算定方式では、生産費調査を基礎として算定すべきではないか、としている。

生産費の考え方では、現行方式やマルキンの算定でも、飼料費や労働費、その他経費を合算した費用合計から、副産物価格を控除し、支払利子・地代を加えた「支払利子・地代算入生産費」を採用していることから、新たな保証基準価格の算定に当たっても同様の取扱いを提案している。牛肉生産には周期変動(キャトルサイクル)があるため、現行の算定でも7年間の平均価格を基に算定している。

生産の合理化促進の配慮では、肉用子牛生産者安定等特別措置法で、近代化(合理化)を促進するように配慮することが規定されている。ただ、肉用牛繁殖経営支援事業については、12年に会計検査院から、“単なる上乗せ事業では生産者の合理化努力を阻害する恐れがある"と指摘されたこともあり、新たな保証基準価格の算定ではこの指摘事項を念頭に置く必要があるとした。

この点、子牛1頭当たりの生産コストは、規模拡大につれ、生産コストは労働費を中心に低減し、一戸当たりの繁殖雌牛飼養頭数は年々増加し、17年度は14.6頭となっていると説明。子牛の出荷月齢の早期化、繁殖雌牛の分娩間隔の短縮は、生産コストの低減、収益拡大に大きく寄与し、家畜改良増殖目標でも、分娩の短縮化、早期からの個体能力に応じた効率的な肥育を開始すると明記している。また、乳用種・交雑種経営の生産費については、その過半は素畜費(ヌレ子)が占めている状況だとし、ヌレ子は酪農経営における副産物であり、保証基準価格の算定における素畜費の取扱いも検討する必要があるとした。

保証基準価格の2年目以降の算定方式は、現行方式同様、生産費をベースとして算出された価格に、生産コストの変化率などをかける方式を提案した。品種格差係数は、自由化前7年間のデータで固定するのではなく、直近の状況を反映する方式を提案した。交雑種については、交雑種の生産費調査から算出方法を提案した。合理化目標価格の見直しでは、国内の牛肉生産量は近年35万t前後で推移し、現行の合理化目標価格の算定に当たって、過去10年間の平均輸入価格などに国産牛肉の1~3等級の価格との品質格差を加味した輸入牛肉対抗価格を用いている。現在は、国産に占める和牛の生産割合が増加するとともに、A4・A5が全体の8割を占めるなど、輸入自由化時とは異なる状況であることを紹介した。

〈畜産日報 2018年10月5日付より〉