日本ハム19年3月期中間決算 台風21号・北海道地震が物流・生産拠点に影響し減益

〈売上高は1.4%減6,180億円、加工事業本部1.1%増1,744億円〉
日本ハムは10月31日、2019年3月期第2四半期(中間)決算を発表した。売上高は前年同期比1.4%減の6,180億円、営業利益は28.1%減の214億2,200万円、税引前利益は24.6%減の231億7,300万円、親会社の所有者に帰属する四半期利益は20.6%減の163億7,100万円だった。利益面では、台風21号、北海道胆振東部地震の影響により関西地方の物流拠点と北海道胆振地方の鶏肉生産拠点で、棚卸資産の評価損、固定資産減損損失が発生したため減収減益を余儀なくされた。

セグメント別(表中の品目別は連結売上の内訳)には、加工事業本部のハム・ソーセージ部門は、コンシューマ商品が販促やTVCMで「シャウエッセン」が堅調に推移したほか、「豊潤あらびきウインナー」、包装形態を変更し使いやすくした「アンティエ」が順調に伸長したが、PB商品が伸び悩み前年並み。中元ギフトは宅配料金値上げもあって売上げは減少した。業務用商品は、低収益商品の見直しを行い販売数量が減少。その結果、ハム・ソーセージ部門の売上高は前年を下回った。

加工食品部門では、コンシューマ商品では、TVCMを導入した「中華名菜」に加え、「シャウエッセンピザ」などの新商品を上乗せした「石窯工房」が好調に推移し、前年を大幅に上回った。業務用商品は大手外食チェーン向けが苦戦も、加工食品部門全体の売上げは前年を上回り、この結果、加工事業本部全体の売上高は1.1%増の1,744億5,300万円となった。利益面では、製造部門で品種構成が好転し粗利益が改善も、物流コストや電気、燃料など製造コストが上昇し営業利益は4.6%減の27億5,300万円となった。

食肉事業本部では、今期も「桜姫」「麦小町」などのブランド食肉の拡販に取り組んだが、国産豚肉、国産鶏肉の相場が前年に比べ下落したこと、輸入鶏肉の国内供給量が増加し価格が軟調に推移したことで売上高は2.7%減の3,791億3,500万円となった。利益面では、生産部門ではブランド食肉比率の向上、最新設備導入による処理能力の向上に努めたが、国産豚肉・鶏肉の相場下落、飼料価格上昇が影響した。販売部門では、量販店へのブランド食肉の販売強化、外食向けの営業体制の整備、顧客ニーズに基づく食肉加工品の販売など需要に合わせた商品提案を行ったが、アジアでの旺盛な需要を背景にした輸入牛肉の価格上昇、輸入鶏肉の昨年の市況高からの反動、国産豚肉相場の変動で、全体の営業利益は28.4%減の182億5,200万円となった。

関連企業本部は、乳製品部門でベビーチーズなどコンシューマ商品が好調も、水産部門での相場高騰と競争激化による水産原料の販売苦戦で、売上高は5.0%減の759億5,200万円、営業利益は83.4%減の1億9,300万円となった。

海外事業本部は、アジア・欧州事業の売上高は前年を下回り、米州事業は順調な食肉輸出と販売拠点の強化で内販が伸長、売上げは前年を上回った。豪州事業は、日本向け牛肉輸出が好調に推移し、米国向けやアジア向け輸出も増えて前年を上回り、同本部の売上高は3.6%増の1,316億5,700万円となった。利益は、アジア・欧州事業はタイの加工食品製造工場での人件費上昇、トルコの養鶏事業はトルコリラ安で飼料・資材が高騰し前年を下回った。米州事業は、食肉輸出の増加、米国内販売での仕入原価が低減したことで粗利益が改善し前年を上回った。豪州事業は、生産コストの改善が進んだこと、生体牛の集荷が順調だったことで前年を上回った。この結果、同本部の営業損失は8億5,500万円(前年同期は13億6,100万円の営業損失)となった。

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〈畜産日報 2018年11月1日付より〉