〈19年3月の需給展望 鶏肉〉需要の端境期で相場上げ要因少なく弱含み、モモ630~640円、ムネ230円前後の展開か

畜産日報 2019年3月7日付
2019年2月の国産鶏肉の需給は、先月に続き一部産地で寒波による増体不良に伴い、生鮮モモにタイト感が生じていた。他方で末端需要も、鍋物商材や量販店の決算セールなどでモモ正肉は堅調、手羽元も多少動いたものの、その他、ムネや副産物関係は不振という状況だった。全体として売れ行きは良くなく、むしろモモの供給状況から相場が維持された格好だ。この結果、2月の平均相場(東京、農水省・食鳥市況情報、税抜き)は、モモ正肉が前月並みの667円(前年同月比19円安)と維持したものの、ムネ正肉が前月から16円値下がりして269円(42円安)となった。日経相場でもモモ正肉が3円値上がりの651円(13円安)、ムネ正肉が16円安の255円(50円安)と落ち込んだ。

3月は雛祭り以降、これといったイベントはなく、春休みで学校給食も止まり、中間流通の決算月にも当たることから、基本的に相場の押し上げ要因は乏しい。下旬からは歓送迎会や花見需要も出てくる半面、末端の価格志向の動きは強まるとみられるため、単価の安い鶏肉は他の畜種に比べると有利な面もある。ムネもこの間、相場安で推移してきたため、春夏向けの加工原料や総菜関係の引合いが増えてくることも期待したいところ。3月の平均相場は弱含みで推移し、日経相場としてはモモ正肉で630~640円、ムネ正肉が230円前後の展開と予想される。農水省の食鳥市況でモモ正肉650~660円、ムネ正肉で245円前後のところか。
 
[供給見通し]

日本食鳥協会によると、3月のブロイラー生体処理羽数の全国推計は前年同月比0.2%減、生体処理重量も同0.4%減とほぼ前年並みの計画となっている。稼働日数の関係もあるが、前月比では処理羽数が8.7%増、処理重量は8.7%増と増える見通しだ。産地では1月後半から2月半ばにかけて増体率の低下、廃棄率の上昇がみられ、供給量の減少がモモ相場を下支える要因となった。気象庁の季節予報によると、ことし3月は全国的に平年よりも高い気温が予想されており、生産状況は良化してくるとみられる。

農畜産業振興機構の鶏肉需給予測では、3月の国内鶏肉生産量は13.4万t(前年同月比1.3%減)で前月から9.2%増加、輸入品は前月から10.7%減の4万t(7.9%減)としている。3月末の国内在庫は国産・輸入合わせて14.8万t(16.2%減)と少ない予測であり、凍結物相場を下支えする要因ともいえる。
 
[需要見通し]

足元の末端需要は引続きモモ中心の展開となっているが、先月下旬からそのモモの動きも鈍ってきた。気温上昇とともに鍋物需要が弱まったためとみられる。一方でムネの動きの鈍さがここ数カ月間続いており、生鮮物相場が安いため凍結に回しているほか、メーカー系では現状、安い凍結在庫を集めている状況だ。ササミなど副産物の動きも同様で、凍結在庫を積み増している。

3月は行楽需要が期待できるものの、あくまで3月下旬から4月早々の時期であり、むしろ鍋物シーズンが終わり、学校給食が止まるうえに、決算月であることなど需要としてはプラス要因が少ない。とはいえ、末端では相場安のムネ正肉の販促を仕掛ける動きも一部にあり、ムネ肉は春夏シーズンの加工品や総菜関係など原料関係の需要が強まってくると期待したいところだ。前述のように例年よりも気温が暖かい日が多いとされているため、下旬にかけて手羽先、手羽中など焼き材の動きも注目される。

[価格見通し]
3月は需要の端境期で、春休みや新生活の準備など何かと出費がかさむ時期でもあり、末端の価格志向は根強いと思われる。今後の出荷動向によっては弱気感が出てくる可能性もある。相場的にはマイナス材料が多いが、3月の相場は弱含みで推移し、日経相場でモモ正肉が630~640円、ムネ正肉は230円前後、農水省食鳥市況ではモモ正肉650~660円、ムネ245円前後での推移と予想される。

〈畜産日報 2019年3月7日付〉