〈今期も人件費・物流費上昇は変わらず、原料事情を勘案すれば“価格転嫁”は必須〉
ハムソー・食肉関連各社の2019年3月期連結決算が出そろった。対象企業9社(一部2月期決算)の売上高は前年同期比1.4%増、営業利益22.0%減、経常利益28.6%減、当期純利益は34.5%減と、微増収・大幅減益を余儀なくされた。同期は、一部原材料価格の上昇、人件費、物流費の上昇、販売競争の激化、家畜の疾病と、さまざまな環境の変化の中で厳しい経営環境となった。食肉部門では国産牛肉、輸入牛肉での高値継続、国産豚肉の相場下落、鶏肉では前年の相場高の反動を受けた単価下落と状況変化の中で利益が取り難く、全体では0.8%の増収も各企業で減益となった。

ハムソー部門は、年間生産量は過去最高を更新も、各企業ではPB商品、業務用が伸び悩んだほか、低価格志向と競争激化によりコスト上昇分を販売価格に転嫁できず各社とも減益基調となった。また総菜・調理食品など加工食品部門は、簡便調理商品が好調だったが、ハムソー同様に物流費などコスト上昇を販売価格に転嫁できず収益は悪化した。今期は、中国でのASFまん延による国際的な豚肉価格の上昇を含め原料価格の上昇が確実視される中、効率化による収益力強化を大前提にしたうえで、コストの転嫁、商品の値上げが必須といえる。

ハムソー・食肉関連9社の売上高は3兆5,330億円(1,000万円以下切り捨て、以下同じ)で、増収が6社、減収は3社だった。今回は食肉と加工食品が増収の半面、ハムソーで減収、全体では1.4%の微増収となった。一方、9社の営業利益は22.0%減の790億円となった。経常利益は28.6%減、当期純利益は34.5%減だった。低価格志向の中で、ハムソー・加工食品での競争激化、人件費・物流費の上昇、国産牛肉や輸入牛肉の現地相場の高止まりなどが響いた。結果、売上高営業利益率は2.24%、同当期純利益率は1.48%まで低下した。

部門別の動向をみると、ハムソー売上(部門別売上を公表する6社対象)は4,996億円で1.7%減少した。各社の主力商品は販売量を維持したものの、PB商品や業務用で販売が減少した。加工食品売上(6社対象)は6,880億円で3.8%増加した。1社減収も、5社が増収となった。ハンバーグ類、チキン商品、総菜商品のうち簡便性を打ち出した商品が好調だった。しかし、競争激化で、原材料価格の上昇、人件費・物流費の上昇などコスト上昇分を販売価格に転嫁しきれず、ハムソー・加工食品とも利益面では苦戦した。

食肉売上(7社対象)は1兆7,546億円で0.8%増加した。3社が増収、4社が減収となった。国内では国産豚肉の仕入れ価格低下も、国産牛肉は相場高が続く一方で販売価格に転嫁し難く、利益が取り難い状況が続く。輸入食肉は、国産食肉からのシフトで、取扱量が増加した。ただ、輸入牛肉では仕入れ価格の高値推移が続く。これにより、微増収も多くの企業で減益基調となった。

今期について、日本ハムの畑佳秀社長は、「中計で掲げた5つの経営方針に取り組む。その一つの“既存事業の効率化による収益力強化”では、さまざまな設備投資による合理化、ブランド商品を中心とした販売強化、海外の改革に力を入れる」とし、収益力の強化を第一に挙げた。

伊藤ハム米久ホールディングスの宮下功社長は、「東京工場でソーセージの自動化ライン導入などで生産性向上とラインの効率化を進めているが、全体で人員削減などを中心に生産性の向上や新しい設備導入などを通じ経費節減に努める」と述べた。

〈畜産日報 2019年6月5日付〉